「あなたの“包装”は中身を正確に表していなくてはなりません。
自分のつくっている他への印象が自分の望むものであるように
しましょう。他人があなたに対する認識をつくりあげるすべての
ことにたいし、申し分のないスタンダードを設定することです。
あなたの微笑み、表情、姿勢、身振り手振りや目の表情、言葉
の選択、声の抑揚、服装、そして人があなたを見つけたときに
どんな環境に身を置いているか、それらのすべてがあなたの
ブランドの個性づくりに役立ちます」
(デビッド・マクナリー+カール・D・スピーク
『人生に成功する「自分ブランド」Be your own Brand』)
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人は日々「自分広報」しています。それに気付かない
だけです。生まれた時から、自分が自分の「広報者」
なのです。一日を考えてみましょう。
朝、目覚めて、歯を磨き、鏡を見る。今日の予定は何
かを考える? 誰と誰に会う、何のミーティングに出
席する・・・そこで、今日はどんな服装がふさわしい
か? どんなにお化粧しようか? どんな態度で臨も
うか?・・・などと自問自答。それらを決める際には、
「こうありたい自分」「目指したい自分」が心の奥底
から、本当にそれでいいのか?もっと違う方が相手か
ら好感をもたれるのではないか?などと問いかけます。
人は誰しも自分が大好きです。少しでも、よく見せた
いのです。そこで、ありたい自分、あるべき自分、目
指す人間像、尊敬する人物になるために、よりそれら
しく見せるために工夫を凝らします。手持ちの服の中
でのより良い組み合わせを考え、TPOつまり(Time
時、Place所、Occasion機会)に応じて身だしなみを整
えるのです。
シェークスピアは、「時として外見は実態とはおよそ
かけ離れているもの。世間はいつでも上面の飾りに欺
かれる」(『ヴェニスの商人』)と警告を出していま
す。一歩外を出れば、人の身なりや態度と自分とを見
比べます。それは男女において顕著な違いもあるし、
その気遣いの度合いはかなりの個人差があります。
無頓着な人、頓着し過ぎる人・・・。そして、どんな
態度をとるか?、誰に何をどのように発言するか?な
どを毎時毎分毎秒考え、脳からの指令を実行している
のです。
別の日には、将来の目標は?と訊かれ、何になりたいの?
と問われる。日ごろから自らの目指す方向に基づいて答
えます。もしも、間違いを犯した時には、素直に謝るか?
理由を述べて自分の立場を正当化しようとするのか?
それとも、ウソでごまかしてその場を取り繕うのか?
はたまた、批難覚悟で逃げ隠れするのか? それはすべ
て自分の為せる仕業であり、それをさせるのは自分自身
の考え方であり、自分の性格であり、人生観・倫理観で
あり、すべて自分の脳が考えることなのであります。
日々のこうした自分のあり方・対応の仕方が、実は「自
分広報」そのものなのです。
自分の考えを決定して、自分の体内各機能に命令して、
言動させているのが「脳」です。すべては脳が自分を司
っているのです。つまり、人間は脳で考えている自分で
あり、その指令に基づいて動作している姿はその考えの
表れです。脳が情報でもって身体各部を指令して動いて
いるのが人間の姿なのです。
会社は人で出来ています。そこで、自分を会社と見立て
ましょう。脳が社長です。組織が骨格、指先は社員、そ
れを脳つまり社長が司っているのです。人間と会社を一
致させ、考えている自分が自分であり、会社なのです。
私たちは、自分を大切にして、なりたい自分、なるべき
自分を目指しましょう。
「君自身に固執したまえ。ゆめゆめ模倣などしてはなら
ぬ。君自身の天分なら、ここまでずっと育ててきたその
積み重ねの力を発揮して絶え間なく表し続けることもで
きる」(『エマソン論文集』)のですから、私たちは自
分を信じ、自分の能力を精一杯発揮し、能力に恥じない
仕事をすることが自分自身から求められている自分の義
務です。
それが、かけがえのない自分に対する自分の誠意な
のです。そしてそれこそが「自分ブランド」なのです。
日々、至誠を貫き、豊潤な「自分広報」に精出しましょ
う。
日々、誇り高く、大義を為し、大志を目指しましょう。
日々、いかなる事態にも自らの尊厳を崩すことなく、
確固たる「自分」を築きあげましょう。
それが、自らの人生に充実を、心に裕福をもたらすこと
でしょう。
それが、自分の周りを取り巻く最も愛する人をも幸せに
導く最上の道です。
【山見博康】