「1.時を告げる預言者になるな。時計をつくる設計者になれ。

 2.「ANDの才能」を重視しよう。

 3.基本理念を維持し、進歩を促す。

 4.一貫性を追求しよう」

    (『ビジョナリーカンパニー』

        (ジェームス・C・コリンズ/じぇりー・I・ポラス)

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ベンチャー経営者は、ある商品とある志を持って独立し、懸命

に働き、一攫千金を夢みて日々苦闘し、時には苦悩し、苦悶

する。そうして順風満風どころか逆風厳風の中を泳ぎ切って

何とか軌道に乗ったとしよう。その内、時に大きな利益が出た

りして、有頂天になる。そこで慢心が出る。こんなものか!

と思った頃から何だか歯車がおかしくなる。

時を告げることは個々人の人生において、節目節目にあったで

あろう。学芸会に出たとき、何かの賞をとった時、何かで誉められた

時・・・それは、小さいながらも時を告げたのかも知れない。

しかし、長い目で見ると一時的な栄光ははかないものだ。

ある程度の年齢になって、「あの時はよかった」との回顧の日々が

多くなると衰退の人生が始まる。会社も同じである。

「髪が白いとか皺が寄っているといっても、その人が長く生きたと考

える理由にはならない。長く生きたのではなく、長く有ったにすぎ

ない」(『人生の短さについて』セネカ)のです。

成功する経営者の仕事は、会社を製品とすることだ。「会社は計画

の産物、電卓は偶然の産物」だ。ソニー創業者井深大の最高の

「製品」はウォークマンではなく、ソニーという企業であり、その企業

文化なのである。

ホリエモンは、大きな時を告げた。誰にも聞こえる驚愕の声であった。

時に轟音であり、騒音であり、そして雑音であった。巨大な時を告げ

た時が終焉の音でもあった。

永続的な企業を目指す経営者にとって何よりも重要な点は「基本理

念を維持し、進歩を促す具体的な仕組みを整えることの大切さだ。

これが時計をつくる考え方の真髄である」と同書にある。

重要なのは仕組みである。着実に時を刻む時計をつくるべきである。

これは人間の成長も同じ。一貫して着実なほど日々の時を刻むが、

永遠に刻むためには、続かせる仕組みが必要だ。それには身体に良

いものを食べて細胞に活力を与え、身体を鍛えることで体力・適応力

を高め、きちんと労わることで身体各部のメンテを怠らず、本を読み、

知識を蓄えることで脳に滋養を与え、思考することで脳力を研磨し、

常にみずみずしい感性でもって物事をとらえ、自分の身辺に発生し、

時には勃発する日々刻々の事象を興味深く受け止め、いかなる条件

の中にあっても、自己の尊厳をくずさず、相手の立場を理解してこれ

を善処することである。

このようにできることによってこそ、持続可能な会社となるのだ。

このことは即ち、いつまでも活力漲る自分を創る秘訣でもある。

進化のための行動を常に促し、強化する仕組みをつくらなければな

らない。

                        【山見博康】