「大小に拘らず、集団の第一の本質的な生存条件を『倫理の
最低限』と呼んだ人があるが、これは全く正しい。従って、一時
凌ぎにしろ、全体の存立に役立つ規範というのは、個人からみ
ると、一応、社会的存在として生きて行くための最低限にすぎな
いことになる。もし、個人が最低限だけを守って、他の多くの掟
に従わなかったら、彼は倫理的異常者、全く飛んでもない人間
になってしますであろう」(『社会学の根本問題』ジンメル)
最近、コムスンがメディアを賑わせています。そこで見られる
のは人間のあり方です。「法令させ守ればいい」というだけの
人間を、ジンメルは「倫理的異常者」と喝破するのです。
ましてや、このコムスンのように、法令に違反してまで介護ビ
ジネスをやるのは、倫理的というより人間的異常者というべき
でしょう。
理想的には法令をいかに上回るかを競うような風土が必要
です。「倫理的な正常者」を一人でも多くし、崇高な人徳者、
高い倫理観の人を増やすことです。そのためにはまず、自分
がその一人になる努力をすることが、最も確実な増加法です。