向上心のある人は随所で勉強の機会を見出します。
セミナー・読書・優れた人の話・・・。これらの勉強と
その成果は食べ物と消化の関係にあります。例えば、セ
ミナーで1日勉強することはあたかもレストランでフル
コース料理を楽しんだことです。しかし、食べただけで
は単に空腹を満たしたに過ぎず、身体のために役に立っ
ているわけではありません。下痢して全部排泄されれば
何の役にも立たないのです。食べたものが胃で十分消化
され、栄養分が抽出されて腸で吸収されなければなりま
せん。しかも、吸収されても全部が血や肉になるので
はなく、その一部が血となり肉となるだけです。つまり、
食べた物の50分の1、あるいは100分の1が実際に身に付
くといっても過言ではないでしょう。
セミナーでの勉強も同じく、ただ聞いただけでは何に
もなりません。その後実践が消化なのです。試行錯誤の
後自分で納得していく過程が吸収です。最後にそれを異
なった場面でも活かせるようになり、無意識に出てくる
ようになって初めて、セミナーが自分の実力の一部とな
る。つまり、血=知や肉=智恵になることです。
消化が反復作用によって吸収されるように、経験も日々
の精進・訓練によって実際に身に付くのです。そうして
身についたものだけが本当に自分のものなのです。
一つひとつ「小事も地道に日々継続」を肝に銘じましょ
う。
ショウペンハウエル曰く「読書は他人にものを考えて
もらうことである。熟慮を重ねることによってのみ、読
まれたものは真の読者のものとなる。食物は食べること
によってではなく、消化によって我々を養う」
山見博康