Ⅰ脳が人を司る


(1) 人間とは何か                                                  

「大辞林」によれば、「ひとは、動物中最も脳が発達。言語を持ち、

手を巧みに使うことによって優れた文化を生み出した。動植物・木

石などにはない、一定の感情・理性・人格を有する」とあります。

つまり、人間とは、脳を駆使し、言語を操り、手を巧みに使って工

夫をすることによって、他とはまったく異なる能力を持っているとい

うことです。

(2) 身体はなぜ動くか

心臓や内臓など一部重要器官は、脳の指令なく働くが、他のすべ

ての器官は「脳」の指令で動きます。人間組織の末端である手足

もまさしく脳からの指令を待ち、それによって動くのです。

(3) 脳が人間を司る

人間の身体は自分であって自分ではない。つまり、手足を無くそう

が、目や耳が聞こえなくなろうが、脳さえあれば自分である。心臓

以外の器官、例えば肺が1個無くても、腎臓が無くても脳があれば

自分は生きており、脳の指示がある限り生きた人間なのです。つま

り脳からの情報が人を司っているといえます。


Ⅱ.会社は社長が司る

(1)会社は法人

会社は人になぞらえることができます。つまり、脳は社長、内臓は

工場、手足は社員です。内臓の一部がなくなってもつまり、工場が

一部閉鎖になっても機械を合理化しようが、社長が生きている限り

会社は存在します。手足つまり社員が居なくなっても、社長さえ居

れば会社として機能するのです。人と同じく、社長が指令を出し、

会社組織を動かすことによって生きているのです。

(2) 真の経営活動とは 

会社はトップで決定した情報の中で、どの情報をいつ、どのように

外部に伝え、また社員に伝えるかです。それはあたかも人間が

で考えたことを、鋭い神経や新鮮な血がいつどのように各器官に

指令するかと同じです。その伝達とは身体に「動脈」を通すことで

す。逆に、外部からの情報や内部からの情報つまり悪い血を含む

情報をいかに脳に伝えるか? つまり「静脈」を通すことなのです。

(3) 動脈・静脈が滞れば

もし、動脈が滞ればつまり血が通わなくなるので末端の組織は、

次第に腐敗し遂には「壊死」します。また、静脈が滞れば脳に血

が通わなくなり、「脳死」するのです。経営者は、この動脈と静脈

に新鮮な血や清廉な空気が交通しているかを常時監視しておか

なければなりません。つまり、経営者の仕事は、「会社を円滑な

情報交通によって司る」ことなのです。「司る」と日本語と使うの

は、そこに「人徳」「倫理」が入るからです。人間的温かみや正し

い道を歩む決意が不可欠。決して、根を腐らしてはなりません。

腐った根は、次第に見えないところで組織と人心に蔓延っていく

からです。あっと気がついた時には大木でも倒れます。近年の大

企業不祥事を見ればその例は枚挙に暇はありません。

(4) 広報は会社の顔面機能

会社の情報をいかに咀嚼して内外に伝えるかのコントロールタ

ワー機能が「広報」の役割です。「広報は経営」なのです。耳で

広く聴き、目で見えない状況も見、鼻で微かな末端の動きも嗅

ぎ付ける。そして、決定事項を口(広報)から内外に発信するの

です。この情報の相互交通がスムーズにいくことが経営の要諦

なのです。すると、悪い情報も上司や社長に直報されることにな

り、諸問題への早期対応が可能になるのです。


Ⅲ.情報伝達の要諦とは

経営者あるいは経営幹部の仕事は、頭脳で考え、成すべきこと

を決定し、それをいかに伝達するかにあります。その社内外への

伝達を司る機能が広報部門の役割です。この重要な役割を担う

広報担当には、社長自ら率先垂範することに加えて、第一級の

人財を当てるべし。この仕事をきちんと遂行できれば、どんな部

署でもその力を発揮するでしょう。

広報活動を充実させることはコミュニケーション能力の向上につ

ながるからです。経営者・経営幹部が自らの意図を通じるための

コミュニケーションの要諦とは:

1.指揮官は自分の立場で考え、指導者は部下の立場で考える

2.指揮官は命令を伝達し、指導者命令を理解させる

3.指揮官は部下を働かせ、指導者は部下を働きたくさせる

     

経営者や経営幹部は、この情報伝達の真髄を掴むべく日々勉

強しなければなりません。この能力に長けた社員・経営幹部が

増えれば増えるほど、その会社は躍動しているといってよいの

です。

「組織の信頼性は業績と透明性の二点よって決まる。経営者が

組織の明確な部ジョンとそれを支える戦略そして具体的な行動

計画を描くこと・・・・これが高い業績へ導く因子になります。

しかし、いかにビジョンや戦略がパワフルでも、社員に理解され

なければ共有されず、共有されなければパワーレスになり、結

果を出すことはできません。それらを社員に伝え、モチベーショ

ンを高めるには、継続的且つ焦点の当ったコミュニケーションが

必要なのです」

(日産自動車カルロス・ゴーン社長の拙著『広報の達人になる法』

に寄せた序文より)