私は、子供の頃から「手足が先、頭は後」つまり

行動が先走り、後で考える性質で失敗ばかりです。

それが社会人になっても治らず、どうしても思慮
が浅くなってまた失敗するのです。
 入社6年目、大阪鉄鋼国内販売部から希望して
いた東京の輸出部に転勤になり、意気揚々と仕事
していても、やはり考えが足りずにやることだけ

が出すぎて失敗が目立ってきたようです。
 見かねた上司が、
 「1歩前進2歩後退の冷静さを身につけよ」
と注意してくれました。普通そう注意されると、
萎縮しがちなのですが、後退嫌いな私はどうす
ば前進できるのか?と思案。
そうだ、「命令には幅がある」(小林部長)のだ。

「1歩の幅は一人ひとり異なるし、それは自分

コントロールできる。歩幅を変えれば後退しな

い」ことに気がついたのです。つまり
 「一歩大きく前進し、ニ歩小さく後退」すると

つねに前進できるのです。

 こうして猪突猛進癖は治らず、今なお失敗に懲
りないのですが、この忠言は「心のブレーキ」と
なっていつも機能しており、感謝しています。
猪突猛進のお手本となる卓越した経営者の一人、
小倉昌男ヤマト運輸創業者曰く、
「どんな困難でもどんな人にでも、考えて、
考えて、考え抜いてもわからないことがある。
その場合はやってみることである。やってみれ

わかる。やらなければわからない」と。

 勿論、「1歩大きく前進したとしても、時には

それ以上に2歩後退する必要もある」ことを、肝

に銘じていましょう。

 「人間は考える葦である」(パスカル)

              【山見博康】