4月5日(木)私に5人目6人目の双子が生れ感動しています。最初は女の子で330g、次が男の子280g、色白で淡い黄色い肌をしたとても爽やかな子です。

つまり、2冊の本の発行日なのです。本の出版は正に子を産むプロセスです。1年前位から構想を練って、執筆に入り優に10ヶ月は体内で育み、最後の1ヶ月位は、産みの苦しみを味わいます。そして、産まれた子は実に可愛く、いとおしいものです。

 崇拝するショウペンハウエルが「自分の思索でつくった体系は、いわば産みおとされた生きた人間に似ている。その成立の仕方が生きた人間に近いからである。すなわちそれは外界の刺激をうけてみごもった思索する精神から月満ちて生まれたのである」と指摘するように、自分の分身でもあるのです。

これまで上梓した4冊にも同様の熱き想いがありました。

『人に好かれる法』『だから嫌われる』の双子は、これから全国の書店において雛壇に並び、皆様の注目を浴びて広く喜ばれることを心から祈っております。


 著作のプロセスは、実は物造りと何ら変わることはありません。分かり易く言えば、本=車です。どんな本にするかという企画書は車のコンセプトです。読者対象=顧客対象。

車が良い部品を集めて組立てるように、本では情報を仕入れ、言葉・文字を組合わせて文章を作る作業です。大体完成したら、車で車名を決め外板の色や形を決めるように、本でも、書名を考え表紙の質や色を決めるのです。両方とも試作車・本=プロトタイプ完成後、アセンブリーラインにおいて大量生産し、ディーラーのショウウインドウ=書店に並ぶのです。作者は最初からそれが快走、疾走することを夢見て、全身全霊をかけて打ち込むのです。格調はロールスロイスかベンツ、品質はセルシオ、売行きはカローラ・・・が理想でしょう。カローラの売行きにはいつも程遠いのですが、今度は少しは期待できるかも知れません。

 これから書店周りして、どんな風に並んでいるか見るのを楽しみになります。それは子供に会いに行く喜びでもあり、恋人との逢瀬を楽しむときめきでもあり、評判を気にする憂いのひと時でもあります。

 

 一度産みの苦しみを味わった母親がこんな思いは二度と嫌と思ってはいても、また、子供が欲しくなるように、著作した者は次作の誕生を願うものです。私もその例に漏れずこれからも子作りに励むことでしょう。次作は『人を知る法』の復刻を目指します。

                                       山見博康