結論からいうと「治療の選択肢を決定するのに最も大切なのは再現性」です。再現性というのは文字の通り、同じ治療法で同じ結果が再現できるかどうかです。
つまり「前回も前々回も上手く行ったから今回も同じ方法をする」ということ
再現性さえ確保されていれば仮にその治療法のエビデンスレベルは一切必要ありません。
※エビデンスレベル・・・論文や研究の分類で高いほど良いとされる傾向がある、いわゆるRCT(ランダム化比較試験)がエビデンスレベルが高く一部で高い評価を得ていて、症例報告(ケースレポート)はエビデンスレベルが低く一部で低い評価を受けている。
具体例として心臓マッサージ、オフポンプバイパス手術の2例をあげます。
1)心臓マッサージが実際に世に広まる要因となった論文は、JAMAに投稿された20例の症例報告(うち70%生存)である。誰もエビデンスレベルが低いことを理由に心臓マッサージを否定する人はいません。
Kouwenhoven WB, Jude JR, Knickerbocker GG. Closed-chest cardiac massage. JAMA 1960;173:1064-7.
2)オフポンプバイパス手術、これは狭窄した心臓の血管にバイパス路を作って血液の渋滞をなくす手術を心臓を止めずに行うものです。古くからのバイパス手術は人工心肺を用いて心臓を止めてやっていました。そして心臓を止めるのが耐えられない患者に心臓を止めずにやったら良い結果となり、普通の患者さんにも適用され、良い症例が積み重なり広まっていきました。
世の中にはエビデンスレベルが低くても多用されている治療は他にもたくさんあります。例えば身近なものだと絆創膏・消毒液から始まり、火傷に塗る軟膏、口内炎の軟膏などなど・・・
医師同士・医師と患者の間で「その【治療法】はRCT(ランダム化比較試験)の結果あるの?ふーん、ないんだ。そりゃインチキだね、効かないね。」のような趣旨の会話をする方がたまにいます。【治療法】を心臓マッサージやオフポンプバイパス手術、絆創膏や消毒液などに変えてみてください。
再現性さえあればエビデンスレベルは最低でも構わないことがよく分かると思います。