2012年5月
N氏は家族思いで、仕事が好き。部下育成に熱心なマネージャー。
目標達成意欲が高く、成果を出し、これらが認められてマネージャーに昇進。
ところが、不思議なことに、N氏の元で部下が育たない。
N氏は怒りっぽく、思い通りにいかないと、モノに当たる大人気ない言動をとる。
仕事に真剣であるがゆえに、ぐずぐずしている部下がいると
「こうするのだ!」と思い余って、自分のやり方を押し付ける。
教え方に柔軟さがない。部下ができないときは自分でやってしまう。
そんなN氏。
マネージャーになって3年目にSIPを受講
< 自己の振り返り >
熱心に仕事をこなすが、これだけでは駄目だと自分を見つめなおす。
「最大の問題点」
部下が育っていない。
「その原因」
部下ができないとき「もういい。俺がやる」と、自分でやってしまう。
育てる思いは強くても、育つまで待つことができない。
なぜ?
“仕事とは、他の人のやり方を見て盗んで覚えるもの”
それができない部下を見て“かっとなる”。
全く部下を見ていない。
N氏の生い立ちを振り返ると、
目標達成意欲の高さは、父の特訓にあった。
個人プレーの自己完結のスポーツに属していたN氏は、
「自分の成績アップのことだけを考えて練習しろ!」と教えられた。
成績さえ良ければ、楽な人生、楽な生活、結婚相手も選べる・・・。
自分のことだけを考え生き、できない人に気を配るやさしさは育たなかった。
このような過去から、今の自分の判断軸ができたことに気づく。
N氏が部下育成に熱心であっても、部下が育たなかったのは、
部下を知ろうとしていない。
部下を知り、教え、引っ張り、育つまで待つのでなく
仕事は盗んで覚えるもの、自分で自分を育てるものと錯覚していた。
ことにあった。
前期研修後の1ヶ月間、N氏は部下をよく観察し、
在庫管理を任せ、教え、待つという育成に取り組まれた。
“かっとなった”とき、次の実践をするとN氏は誓う。
1.“かっとなった”瞬間、そのことに気づき状況を紙に書く。
2.“Let it be.”で、その感情を観る。
3.感情は自分の心が作り出したものと認識する。
4.大きく呼吸する。
5.言葉を整える。
高ぶった感情を鎮めるには、上記の実践を忍耐と執念を持ってするしかない。