~END POINT~前編 | マシュレポ(@ω@)y-゚゚゚

マシュレポ(@ω@)y-゚゚゚

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ゲームや漫画の紹介又は語ったり、時には実験したりラクガキしたりと…

様は何でもあり
それでもよければ是非
覗いてやって下さいませ

注意

これは、pixiv投稿用に書いた
コロッケ!二次創作小説です。
原作もとい、特に2003年~5年まで放映された
アニメ版の設定が入ってます。

アニメ版から10数年の時間経過がある為
当時のエピソードやキャラに触れますので
上記の内容にご理解頂ければ、お読み下さります
様お願いします。m(__)m



目の前に 魔神がいる
魔神は問う

「バン王、金貨を一杯にした奴の願い 叶える お前の 願い 何だ?」

願いは決まっている

「私を…早く大人に…」

言いかけたその時だった

「…本当にいいのか?」

目の前の魔神は
まるで見透かすかの様に言葉を遮って告げた

「お前の願い バンキング叶えられる……でも、
それを叶える事 お前 きっと後悔する…」

たった一つの願いを叶える
その為なら、どんな事でもする覚悟はできてた

バン王の質問に、私は理解が出来なかった

どうして? 

そう返答する直前に、世界は崩れた
バン王は霞が如く視界から消えていく

「…ハッ!」

無地のスケッチブックの如く真っ白な天井が
視界に映っていた

「…ガウ?」

心配そうな表情で覗き混む 桃色のワニ型の
貯金箱

私にとって大切な家族であり妹でもある…

彼女の姿が視界に映った時点で夢と現実の違いに気づき、我に返った

「おはよう、キャンディ…
朝っぱらから、心配をかけたみたいね…」

彼女…キャンディに心配をかけまいと
笑顔を作るが、本心はそうではないとドロップは思った

あれから、どれくらい経ったのだろう?

古代遺跡サラミッドでの戦いの後、共に過ごした仲間達と別れ、久しぶりに単独での旅が始まった

別に彼等とトラブルがあったからではない
…ただ、いつまでも一緒に居るだけでは

叶えるべき願いも叶えられなくなる
ドロップの脳内に一人の少年の言葉が浮かぶ

「…また何処かで会えるといいな…か」

彼… コロッケは別れ際にそう言っていた
寂しがるでもなく ただいつも見せた
無邪気な笑顔で送ってくれた

一人には慣れているつもりだった
彼等と出会う以前から繰り返してきたいつもの事だと 遅かれ早かれそうするつもりではいた

だけどそれからだった
夜を迎える度、同じ夢をみるようになったのは
夢の中のバンキングは毎晩、私に問い掛ける

後悔はないのか?と

後悔なんてする筈がない、最初から
そう決めて歩んだのだから

カーテンを開け、シャワー代わりに日差しを浴びながらドロップは不思議に思っていた。

期待より不安が勝るこの感覚
まるで心に空洞が空いた様な気分

こんなの、故郷を飛び出したあの日以来だ

彼等と長く居すぎたのかもしれない

気持ちを切り替え、ドロップはキャンディを
背中のバッグに納め、金貨集めの旅を再開した

今のドロップには絶対の自信があった

道場で培った技術と流派は勿論、最初の頃より
確実に能力の向上していると

あの旅での経験があったからかも知れない

そう 私は一人でも強くなれる

そして 金貨を集めて願いを叶えるんだと

…でも結果はそれに応じるとは限らなかった

手に入れた金貨は僅か一枚に満たなかった
割りに合わない収穫にただ落胆するしかなかった

せめてものと、その日は少ない持ち合わせで
宿に泊るが正直、金貨だけでなく資金の方も
底を付いてきてる

「はぁ~…こんな筈じゃあなかったんだけどな~
ねぇ、キャンディ、最初の時みたいに強いバンカーに付いてさ、マネージャーやろっかな?」

キャンディは首を斜めに傾げながら返事はしている、きっと同意はしてくれてるのだろうが直ぐに
切り返した

「はは!冗談 あ~あ
大量の金貨が一気にみつからないかなぁ」

そう明るく呟きベッドで大の字になるドロップであったが、心中は真逆だ

旅を始めた最初の頃は、金貨のみならず資金も殆どなかった

そんな状態でバンカーを相手に戦ったとしても一気に敵を作るだけで状況が悪くなるだけだろう… 
    
だから、効率を考え身分を偽りマネージャーと称して戦闘能力が少しでも高そうなバンカーに近づいた

男のバンカーにとって、女性がサポートに付くのは喜ばしい事だったのか皆、警戒する事なく近づけたし、可憐な容姿も相まってちょっと猫を被るだけで簡単に食事代も出してくれた

そして付いていたバンカーが負ければ
更に強いバンカーに鞍替えして金貨をこっそり頂戴した

不自由のない毎日だったが、そんな日々は
コロッケと名乗る少年との出会いで変わる事と
なった

彼と会ってから、今まで高みの見物にいた筈の
自分も直接戦う機会が増え、多くの仲間とも知り合う事になった

ひたすら強い者に鞍替えを繰り返してきた自分には今までに感じた事もなかった経験がそこにはあった

それ故か、彼等と別れてから一気に不安が来た

このままのペースでいても貯まる物も貯まらずいずれ資金は底を尽いて旅も続けられなくなる

そうなると…

目を閉じる彼女の脳内には、かつての旅が
いつの間に得難い大きい物であった事を今になって実感したが、だからといって今更戻る訳にはいかなかった…故郷にも

わたしは何を焦っているのだろう…

故郷の道場には、彼がマロンがいる
父親の影響で道場に費やした自分に彼は優しくしてくれた…何時しか惹かれていた

だが、想いを告げようとした矢先
見てしまった 姉 クリームが、マロンと親しくしているのを

それからだった 旅に出たのは
自分が子供だから、彼の目に私が映らないのだと

その後、知った

この世に金貨と呼ばれるxマークが付いたメダルを貯金箱一杯に集めるとバン王と呼ばれる魔神が現れてひとつだけ願いを叶えてくれる

それに連なってバンカーと呼ばれる者たちが
自身の願いの為に戦ってる構図を

私にとっては希望だった

早く大人になれる チャンスであり賭けであると

そして、故郷に…家に帰るんだと

これまでの旅路を思い出してから
いつの間に眠っていたドロップの朝は清々しい物だった

毎日みていたあの夢は見なかった
 
それだけでも安堵した彼女は残り少ない出費を
カウンターに出すとき経営者である老人は言う

「いいよ…特別にタダにしてやるよ…」

意外な言葉に思わずえっ?と返すと老人は続けた

「最近、世の中物騒なんでねぇ…お陰で利用客も
すっかり減っちまったよ…それに嬢ちゃん…
あんたバンカーだろ? その襟元のマーク」

「そうですけどそれが一体…いや、でも
本当にいいんですか?」

「どのみちこの商売も潮時さ…それに…」

一瞬口ごもる老人の言葉は聞き入らずには
いられなかった

「お嬢ちゃんもこの先にある山に用があんだろ
あの地に眠る…金貨の山に」

大量の金貨…ドロップの心情を察したかの様に
老人は続けた

「古きの時代…王と呼ばれたバンカーが人生の最期に選んだ天秤を模した地、天秤山に自らが集めた金貨を隠したという…この地方だけの言い伝えだったんだけどいつの間にかここを出た若いのが噂を撒いちまってね…今じゃあの山に足を踏み入れるバンカーが後を絶たないそうだ…お陰で客もめっきり来なくなっちまったよ」

息を飲み込みそうになるのを、堪えつつも

「まっ自分の眼で確かめてくりゃいいさ…
あくまでも噂なんだから」

今の話をどこまで信じればいいのか解らなかっただが今のドロップにはゆとりがなく確かめずにはいられなかった…

もしそれが事実ならば、他のバンカーの手に渡る前に自分が見つかれば…

今尚も後がたたないのであれば
まだ見つかってない証拠

老人より聞き出した情報を元に
王と呼ばれたバンカー眠る地へと向かった。

足取りはそれほど遠くはなかった
だがそこにそびえ立つ巨大な山はこれまで見た
どの景色の比ではなかった

受け皿を黙した様な円盤型の小さな山らしき影が二つ山頂よりぶら下がっている…山頂は雲に覆われて窺い知る事はできない、天秤と称するに相応しかった

ここが…王と呼ばれたバンカーの墓…
幸いにもバンカーの姿はなかった
まだ早朝なのもあるが、姿はないという事は
不安を覚えさせる

何者かが先に見つけたのでは…?
そもそもここに金貨があるのか?
単なる噂に過ぎなかったとしたら…?

もし無駄足になれば同時に自分のこれまでの
歩んできた旅や夢も終わるのだろうかとドロップは疑心暗鬼になっていたがここまで来て引き返す訳にはいかなかった

大人になって故郷で待つ 彼 マロンに
会ってあの日からずっと募らせていた想いを
伝えたい

その心のみを支えとして、山道をひたすら歩んだ
時には道なき道を渡る為に蔦を掴んで登り

登りながら、ドロップの脳内には
バンカーサバイバルの事が過った

あの時、大会に直接参加する事はなかった自分がまさか先の見えない山道を登る事になるとは夢にも思わなかった

コロッケや皆もこんな気分だったのだろうか?

いつの間にか息も絶え絶えとなり汗にまみれる
最悪なのは流れた汗が目に入ると手で擦りたくなる様な痒みや不快感に覆われた

昨日、浴びたシャワーをもう一度浴びに、あの宿へ戻りたい衝動に駆られたが老人が言っていた様に店を畳むというのであればどのみち引き返せなかった

フラフラになりつつある彼女を察して
キャンディが心配そうに声をかける

「ありがとうキャンディ、私は大丈夫よ」

そう笑顔を返すも表情と声に力がないのは自分でも解っていた、こんな事なら食料と水分を十分に補充しておくべきだったかな

氷の様に溶けて消えていくかもしれない意識の中視界に映った光景に眼を疑った

家だ

立ち止まり、眼を拭いてもう一度、視界に映す

幻覚ではなかった 取って付けた様に一件家が
山のふもとのそれも森林奥に確かにあった。

それでもまだ信じきれず、警戒しながら近づくと
現実の物だと実感したと同時に疑問が沸いてきた
どうして人気のない山奥に家など建てたのだろうか…と、だがそんな些細な疑念等、銭なきことだったのは一目で明らかだった

家と呼ぶには古びており、所々に苔が生えている、たがそれでも違和感を覚えたのは近くに二つの墓石があったからだった

名前は刻まれていない、だが備えられた花は
ついぞ最近まで置かれた物だったからだった

辺りに気配もない、念の為にドアを開ける際、一声掛けたが中には家主の姿はなかった

正直な所、埃にまみれた家具にさわるなどは
ドロップにとっては気分が良くなかったが、
今の彼女にそんな余裕はなかった

一服のつもりで腰かけ一息をつけ辺りを見渡す
外観だけでなく屋内も古びていた 当然掃除等の手入れをされた形跡もなく蜘蛛の巣だってあった

目に止まったのは、一枚の写真があった
夫婦と思わしき二人の男女らしき写真だが顔の部分は見切れて確認は出来ない

冷静になるとここは本来気味が悪いと思うのが
常識だろうが、不思議とそんな気持ちは沸いてこなかった、余程の疲労が感覚を麻痺させるまでに至らせていたのだろう

ここで体力が戻るまでゆっくり休もう
そう思って眠りに着こうとした時だった

「ガウ!ギャウ!」

キャンディが呼んでる
どうやら彼女が建物内を探索してくれていた様だった

「どうしたの キャンディ?…えっ?!」

キャンディが鳴いてる屋内の奥へと向かうと
そこには大量の黄金色に輝くメダルの山
金貨があった

「うそ…これって!?」

目の前の光景にドロップは信じられなかった
まさかこんな古びた家の中に、金貨が、それに
山が作れる程の量があるなんて想いもしなかった

「あはは…キャンディ…私の頬つねってくれる?
…あイタ!」

キャンディの細い指にギュッとつねられた痛みに
彼女は目の前の光景が夢ではないと確信する

「嘘みたい…こんなに大量の金貨が見つかるなんてねえ!キャンディ!」

ドロップの指示にキャンディは大口を開けて
持ち上げた金貨を掃除機の様に一気に吸い込んだこれがどれ程の量か数える間はなかったが

次の光景には歓喜せずにはいられなかった
貯金箱であるキャンディの身体が虹色に光り始めた あと一枚で願いを、バンキングを呼び出せるサインだ

あまりの興奮にキャンディを抱き上げた

「やった!遂に願いが叶える時が来たのね
キャンディ!」

キャンディも嬉しそうに両手をあげるが
次の瞬間思わず手を支える両肩から力が抜け危うくキャンディを床に落としそうになる

重い…先程まで背のバッグで軽く抱えられた筈の
キャンディがまるで岩を背負ってるかの様に重みを増したのだった

「ごめん…キャンディ大丈夫?」

一瞬、表情がこわばってはいるが
大丈夫といわんばかりに元気に吠える

もし落とせば、キャンディは粉々に粉砕していた…本来、貯金箱ことバンクは金貨が一杯
になると砕けて二度と使えなくなってしまう

バンカーサバイバルを優勝し金貨を一杯にした
コロッケも相棒 メンチが割れてしまった

彼は、父親を生き返らせる本来の願いではなく
メンチを生き返らせる事を選んだのだった

あの事実を知ってから、キャンディが
生きてるバンクが壊れる姿はみたくはなかった、だから以前の旅でバンキングを呼び出す機会に
一度、恵まれた際

金貨が一杯になっても、全ての生きるバンクが壊れない様にしてほしいと、あの時は無理強いだったが、バンキングはサービスと叶えてくれた

だが、もし落とせばいくら願いの代償で割れなくても話は別になるところだった…それにしても

「ところで、キャンディそんなに重かったっけ?」キャンディもメスだから、今の発言には
両手を上げながら怒っていた「いやごめんそんなつもりじゃ」

どうやら、金貨が一杯になるに連れバンクも
重みを増す様だった、その事実を確認したが
残り一枚だけでもない物かと手当たり次第探したが見つからなかった

恐らくこの家にあるのはこれで全部…
そしてここが例の王と呼ばれたバンカーの墓標

だが残り一枚という事に安堵した彼女はベッドに横になった

あまりの興奮に疲労の事などすっかり頭から
抜けてしまっていた、そしてそのツケが来たのだでも彼女は良かったと思う

目が覚めたら、どこか落ちてるであろう
僅か一枚の金貨を拾うだけでいい
そうしたら故郷に帰るんだ…と

宿と違い埃にまみれていたが、ドロップの意識は
静かに眠りに入っていったのだった

そして またあの夢を見る事になった

これで一枚…

チャリンと音と共に、キャンディの真上から
光が柱の様に登り、花火の様に広がる

目の前にピンク色の餅みたいにふっくらした
神様なのに愛嬌すら感じ親しみすらある
バンクの魔神 バンキング

私は願いを伝える

「お願い バンキング 私を早く大人にして」

バンキングは黙っていた
「どうして…何も言わないの…?」

違和感に気づくと 視界に眼を疑った
ピンク色の粉々になった破片を

唯一残っているリボンをみて 気付いた

嘘…そんな…キャンディ…

「ねぇ!どういうこと!?バンキング
生きてるバンクは…キャンディは壊れない様に
してくれたんじゃないの?!」

あまりの衝撃に混乱するドロップをよそに
バンキングは変わらず無言のまま見下ろしてる

「解ったわよ…キャンディを生き返らせてよ!
お願いバンキング!」

「…お前の 願い 叶えられない」

「どういうこと…?」

バンキングの言葉が今一つ理解できなかった
金貨を一杯にすれば願いを叶えてくれる筈じゃ…

「世界から…金貨やバンク 無くなる…
そうしたらバンキング…もう出てこれない
お前の願いも…誰の願いも…叶えられない」

バンキングは透けて消えていく

そんな 嘘 うそよ うそだと言ってよ
待ってよ ちゃんと説明してよ

声も空しく消えていく中
ハッと眼を覚ました 今のは…夢?

気がつくと、身体中が汗で濡れていた 
辺りを見渡す 光っているキャンディが居た

安堵したが夢の内容が忘れられなかった
毎晩、今までみたどの夢とも比較にならない
嫌な内容だった

夢は夢、現実であると確認する為に
キャンディを抱き上げようとした瞬間

ドンと外から物音が聞こえ、ビクッと鳥肌が
立った、足音…それに何人もの

ドロップの心臓が身体から突き破りそうな程に
鼓動が激しくなっている

誰か…いる?

外から声が聞こえる
「ちゃんと探せよ このほったて小屋に
ある筈だからよ…王の遺産 大量の金貨がよ」

間違いない バンカーだ

しかも数人束になって、ここに来ているのだ

ドロップは動揺が止まらなかった…
キャンディを抱いて近くのタンスと思わしき家具の中へと身を隠す

足音が近づいてくる もうこの屋内の直ぐ目の前には気配があった

都合が悪いことに、今のキャンディの身体は
光っている、このままでは直ぐに見つかる
必死でキャンディに覆い被さり隙間から光が漏れないようにしたが、虚しい努力だった

バキッと音と共にドアが勢いよく
引き剥がされた 思わず悲鳴が出そうになるのを堪えたが 状況は最悪だった

「こりゃあ 驚いた
こんな所に女が…しかもピッカピカのバンクをお持ちとはなぁ」

タンスを引き剥がしたバンカーは
片腕が異常なまでに大きかった、まるで機械の
建設機のアームの様な右腕をしている

いつもなら、仲間が助けてくれたが今はいない
そして一人だけなら自分が出て倒すのだろうが
回りには数人のとりまきがいるのをみて無理なのは明らかだった

ドロップは直ぐに取り押さえられた

「なんでこんな場所に迷子の子猫ちゃんが
いるのかな?」

「いや…私はただ道に迷ってここに来ただけ!
ただのか弱い普通の女の子よ」

「へえ~道に迷った…ねえ」

男はゲラゲラ笑いながら、手をかざす

「じゃあ、こいつは一体なんなのかなぁ?」

「キャンディ?!」

巨大なアームに、キャンディがぶら下げられていた

「バンクをぶら下げた普通の女が、こんな所に
来る訳ないだろうが!…それにここで会えるとはなぁ、女狐ドロップ」

「えっ?」

「グヘヘ、バンカーの間じゃ結構有名なんだぜ
強いバンカーに近づいては、金貨を頂いておさらばを繰り返すセコい女が居るってよ」

ドロップは動揺が止まらなかった
ただでさえ不味い状況が更に悪化していた

「噂じゃあ、仲間と一緒だと聞いていたが
一人なら都合が良い!舐め切ったその神経に
たっぷり灸を据えてやるぜ…だがその前に」

巨体はその巨大な腕でキャンディを更に上へと
掲げる

「キャンディ!」

「噂で聞いていたが、こいつは残り金貨一枚で光るサインだってなぁ、図々しい女狐め、俺らバンカー達だけではなく王の遺産をも独り占めとは…罰当たりも良いとこだ」

「待って!アンタ達が用があるのは私でしょ?
キャンディは関係ないじゃない?!」

「そいつはないね!このトカゲん中に
金貨の山があんだろ、柄に合わずに
だから、願いを叶えるより先に俺様が金貨のシャワーを浴びるのよ!テメエはその後、部下達にご馳走してもらえ!」

「やめて…」

「この俺、プロテイン自慢の握力で
砕けた貯金箱からさぞかし金貨の雨が溢れでるのだろうなぁ」

アームに握られてるキャンディからミシミシと
音が鳴る キャンディも悲鳴を挙げた

「やめてえええええええええええぇぇぇっ!!」

その直後、目の前に何が横切った
何重ものリボンの様な物が一瞬だけ見える
それは蜘蛛の巣の様な形に変わったかと思ったほの直前

プロテインと名乗った巨体のバンカーが
ドロップを取り抑えていた取り巻き共に宙に舞っていた そして全員が逆さまにひっくり返った

頭から地面に落ち、全員鈍い音を鳴らして動かなくなった

あれだけ騒がしくあざけり笑っていた集団が
一瞬で静かになった

何が起こったのか、ドロップは理解できなかった

目の前にはキャンディが居る
幸いにもひび割れ等の怪我はなかった

「良かった…」

安堵している中、周囲を見渡してみる
先程までにケダモノの様にドロップを取り囲んでたバンカー、プロテインと取り巻き達は全員白目を剥いて伸びている…一応死んではいない様だった

そして、倒れた彼等の中心には
誰かがいるのを、確認した

先程の、バンカー達とは雰囲気が異なる

フードを被って素顔を隠しているが
女性が立っていた。

~後編へ続く~