
あらすじ
映画悪の教典より3ヶ月前を描いた前日談
外国エリート企業から日本へ復帰し英語教師へと転職した蓮見蓮司はクラスの人気者であったが彼には裏の顔があった。
その前に元の小説「悪の教典」は
クラスから人気者の英語の先生が居て評判は良かったがその裏の顔はというと実は恐ろしい
殺人鬼で2011年当時このミステリーはスゴい一位を獲得したサイコホラーで
本作は三池崇史版「悪の教典」の前日談ということでこれを観てから本編を観ようと序章をレンタル鑑賞したら結論からいえばかなり良かったしホラーとしてクオリティが高い作品だと感じた。
何より裏の顔を持つ主人公蓮見蓮司を伊藤英明をキャスティングした時点で本作の最大のウリでこれでもう勝ちだなと感じた。
伊藤英明といえば海猿で人の命を救う役割でしたがその海猿とは全く真逆のキャラを演じるだのでこれだけでもこの作品は賞賛に値する
人の命を救う猿が人の命を奪う猿へと変貌するのだから正に海猿ならぬ殺猿である。
因みに伊藤英明演じる蓮見蓮司というのは
例えるならジョーカーに近いサイコキラーで
本編の予告で英語ペラペラ喋りながらショットガンぶっ放す姿とかダークナイトのジョーカーに近い印象で三池映画ではよく怪演俳優が登場するんですがその中でも伊藤英明の怪演は見応えあるし早く本編での怪演ぶりを観たいというぐらいハマり役なんですよ以外と
ジョーカー以外に近いキャラといえば
今アニメで放送してるジョジョの第三部やってますけどアレの続編第四部に登場する
殺人鬼 吉良吉影にも近いですね。
アレも表向きはごく普通のサラリーマンだけどモナリザの手を見て勃起したというよくわからない理由から来る性癖で裏で殺人をしてスタンドという守護霊能力を使って跡形もなく証拠を消すという部分は本作の蓮見蓮司に共通してて
自分にとって目障りまたは自分の正体を知った者を殺して死体ごと存在を抹消するというのも凄く吉良吉影っぽいんですね(ただ直接的描写は飛ばしているのでそこは残念だった…)
あともう1人で蓮見蓮司に一番近い系でいうと昔1976~78年にビッグコミックで連載された 手塚治虫のMW(ムウ)という漫画がありましたがアレに出てくる主人公の結城美知夫という映画評論家町山智弘さんが語ってた通りダークナイトのジョーカーに似た殺人鬼でこの世の中の論理を壊し人を試すのが好きでターゲットをセッ○スの地獄に叩き落とす悪魔で吊り下げられてる相手の口にマッチを投げ入れるシーンとか強烈でした(そういう面白い所は実写では全て骨抜きになってるけど)

MWとの共通している蓮見は表向きは上司から信頼されてるけど裏では想像を絶する怪物です。
本作はこれまで共通点の集合体ともいうべき
よく出来た作品でまず始まり方
人形劇から始まっていきなり先生が銃をもってパンッ!と生徒を1人ずつ撃ち殺していく内容でそれみて「おい何だこの人形劇は?!」と戸惑う人が出てきてそこから本物の銃をぶっ放す蓮見が一瞬映るというのも本編への布石が早くも貼られています。
人気者と呼ばれるだけあって蓮見蓮司は最初はあまりというかとくに事件をおこさないんですけど話が進に連れてこの人何かおかしいぞ…と違和感が表れ始めて生徒達の事を良く知っている理由の真相とかも「異常過ぎる」
本作の要所で蓮見が朝ジョギングしてて
通りすがりの家に忍び込んで犬にハンバーグをあげるんですが一見動物に優しいんだなと思わせといてから不気味に見下ろすカラスとカラス目線のシーンは本作の蓮見蓮司というキャラの恐ろしさを象徴しており本作のテーマでもあるんです。
何故なら表では信頼出来るけど実はそうではなく一度心を許すと気が付いた時には取り返しの着かない末路を辿るという。あのわんちゃんのくだりが全てを物語っているしそこにカラスを出すだけで泥沼な人間関係のメタファー的印象がより強く怖いんです。
他にも本作を象徴するのは「人間の二面性」
さっきの犬以外でも本作の描いてる人間の二面性の場面はいくつか出てきます。
ある脅迫メッセージと真相を知った時に実感する人間の悪意部分やある女の先生がプライベートで酒を飲んで酔っ払う一見どうでも良い場面もあるんですがこの酔っ払うと人が変わる部分も人間の二面性にマッチングしててこれも食い合わせが上手いなと
蓮見蓮司を演じる伊藤英明以外にも実はもう1人本作のテーマを象徴する人物も居ます
ゾンビと蔑まれている根暗の先生を演じてる
吹越満さんです。
恐ろしいサイコホラーの名作「冷たい熱帯魚」にて気弱だった主人公がいつの間にか後戻りが出来ないくらい豹変して破滅していく役を吹越さんが演じていましたが本作の吹越さんは正に冷たい熱帯魚を連想させる演技で
何故根暗になのか台詞上で説明されるんですが回想シーンである泥沼がありそれによって豹変したあの
「何なら…アンタも殺してやろうか…」
あのアングルと吹越さんの表情から来る狂気
と台詞は冷たい熱帯魚で見せた吹越さんの再来でした(゜o゜;
あれも本作のテーマを物語ってます。
この本作はあくまで序章なので伊藤英明さんのスタイリッシュなあばれっぷりを拝めませんがその布石だったり彼の怖さの片鱗にたっぷり浸れます。
あと難点を挙げるなら
ちょっと説明的描写が多すぎたぐらいで
これはドラマ版という構成だからいいけど
ラストの先生の語りは正直いらないと思った…あの先生がどうなったのかは観てるひとにかんがえさせようよそれなら伊藤英明さんのこわさがより引き立つのに…(*_*;
結論「本編をレンタルする前に是非観ておきたい上伊藤英明の怪演をより楽しむための一本」
オススメ度☆☆☆☆