私は、映画「燃えよドラゴン」でブルース・リーを知りましたが、2月に放送されたNHK[映像の世紀 バタフライエフェクト」を見て彼がアクションスターだったというのは、彼の表面的な一部分にすぎなかったことを思い知らされました。

 

 

この番組では、ブルース・リーが香港とハリウッドの伝説的なアクションスターになるまでと、彼に心を動かされた人々のストーリーが描かれていました。

 

特にブルースが香港とアメリカの両方の社会で疎外されながらも、自らの信念を貫き国籍・人種の壁を越えて影響を及ぼしていく姿が描かれていたのが印象的でした。かの毛沢東もこっそりブルースの映画を見ていたのだそうです。

 

そして、若すぎた死後も彼の残した言葉は、バスケットボール界のスーパースター コービー・ブライアント、IT界の巨人スティーブ・ジョブスを始めIT革命を支えた中国系アメリカ人社会や、戦禍を生き抜いた旧ユーゴスラビアの人々(特にボスニアへルツェゴビアでは内戦後に首都にブルースの金色に輝く銅像を建立した場面がありました)、そして「香港の民主化運動」を通じて、ブルースが残した「友よ水になれ」という言葉が、世界を変えていきました。

 

 

最後に、ロストインタビューとして失われていた幻のブルースの録画フィルムが発見されました。

その中で取り上げられていたカナダのテレビ局の「ピエール・バートンショー」でのブルースの質問の回答シーンが全てを物語っていました。

 

ブルースは出世作であるパラマウント制作のドラマ「ロングストリート」で脇役ながら出演し、一躍脚光を浴びることになるのです。

そこで、どうしてそうなったかを問われたブルースは

タイトル名『波止場の対決』でのエピソードで、ブルース・リーとして役を正直に表現したことが成功の要因だと思うと答えた。

ブルースの哲学が、主役に対して話した以下の有名なセリフに表れていたのです。

 

「心を空にしろ、形を捨てて、

水のように。水をコップに注げばコップになり、ビンに注げばビンに、急須に注げば急須になる。

水は流れることも砕くこともできる。

 水になれ 友よ」

 

そして最後の質問:「あなたは中国人ですか? それともアメリカ人ですか?」

ブルース:「僕はこう思いたい 自分は人間だと 偉そうに言うつもりはないが、天のもと人間は一つの家族だ ただ人々はそれぞれ違うだけ」と答えた。

 

 

多くの人たちに影響を与え、分断された世界のヒーローとなっていく姿を知るにつけブルースの存在を改めて再評価させられた番組でした。