日本政府はこの度ソマリア海賊対策のため派遣している海上自衛隊の護衛艦を2隻から1隻に減らすそうだ。理由は海賊の急激な減少なのだそうだ。

 

さてソマリア海賊をテーマにした映画キャプテン・フィリップスを見たが一旦発生したら、日本にはとても解決は難しいだろうことがよくわかるので護衛艦の1隻や2隻程度のことでとやかくいうつもりはないが、稲田防衛大臣には問題解決能力は無いと思う。

 

さてポール・グリーングラス監督の2013年の映画キャプテン・フィリップスである。

 

 

主演はトム・ハンクスで、2009年に実際に発生した「マースク・アラバマ号」乗っ取り事件でソマリア海賊の人質となったリチャード・フィリップスを描く実話モノ映画である。

 

 

お話のあらすじは、2009年4月、アブディワリ・ムセ(海賊のボス)らのソマリア人漁師(普段はだけどそれだけではとても生活は苦しい)は、彼らのボスから金を稼ぐよう強要され、ムセはノール・ナジェとワリド・エルミ、10代半ばのアダン・ビラルを連れて海賊行為を行おうと海に出て行った。

 

そのとき、リチャード・フィリップス船長が舵を取るコンテナ船「マースク・アラバマ」号は、アデン湾からモンバサに向って単独航行していた。

 

ソマリア沖に入り船内で訓練を始めた時、武装した集団が乗ったボートがマースク・アラバマ号に急接近してきた、フィリップス船長は海賊船を想定し、セキュリティ対策を強化して海賊の追跡を一旦は振り切ることに成功する。

 

 

しかし、次の日にムセら4人のソマリア人海賊が再び現れたため、フィリップス船長らはホースによる放水を行い追い払おうとするも、海賊は巧みに梯子を使って船に侵入し、マースク・アラバマ号は彼らにシージャックされてしまうのだった。

 

 

監督はストーリーについて「興奮を呼び、非常にドラマティックな物語」と述べ、「フィリップス船長と海賊のリーダーという、素晴らしい2人のキャラクターが登場する。

 

誠実で責任感は強いが平凡な普通の男と、残忍でずる賢い男が、それぞれの立場ならではの強い信念を持って対決する」、そして劇中に登場する海賊は「本物の海賊」であり、「ハリウッド的な、ファンタジーから生まれた海賊ではない」など魅力を語っている。

また、ソマリア人海賊について、「彼らの背景には腐敗した貧しい国があり絶望的で希望がない状況で、非常に複雑な背景をもっている」と話し、監督が言った「最も危険なことは、生きる目的のない若者に銃を与えることだ」という言葉に同意し、「彼らの悪事を許すわけではないが、複雑な背景を描くことに意義がある」と語った。

 

 

さて、この映画の見所は、一人だけで人質になってしまうリチャード・フィリップス船長がいかにして助け出されたかであろう。

 

さすがにアメリカであっても敵をピンポイントで抹殺するよりも、いかにこのような事態の解決が難しいのかを教えてくれる事件である。

 

まず、アメリカ海軍の駆逐艦ベインブリッジのカステラーノ艦長はシージャック通報を受け、人質となった船長救出の指揮に当たる。

 

艦長は、大活躍する複合艇(船底を繊維強化プラスチックなど硬質の素材としており、船体はディープV型など滑走船型を採用している。これにより、低速時にはインフレータブルボートと同様に大きな予備浮力によって復原力が確保される一方、高速時の波浪衝撃にも耐えられる強度も確保されている。全体を硬性素材で製作したボートよりも軽量となるので高速を発揮できる)を救命ボートに向かわせたり、他の艦隊と通信し状況を艦長やシールズ指揮官に情報提供する。

 

 

シールズ指揮官は救出指令を受け、シールズによる船長救出の指揮をする。交渉をする振りをして海賊たちを複合艇から狙撃する機会を待ち、海賊らを射殺、船長を救出する。

 

 

映画の製作陣は、実際に船長が拉致される際に使われた5トンのファイバーグラス製救命ボートを見に、ナショナル・ネイビーUDT SEAL博物館を訪れ、弾丸の痕跡などを確認し、正確にボートとセットを再作成した。

 

また彼らは、危機監視に使われたボーイング・インシツ社製の無人航空機・スキャンイーグルと、シールズが使用したスナイパーライフル・SR-25なども見ることができた。

 

また、監督が拘ったのが「ネイビー・シールズの海上での射撃は、本物に勝るものはない」として、民間人SEALアドバイザーのエリック・ケイシーの協力を得て、スナイパー役の元SEALs隊員を10人確保までした念の入れようであった。

 

ラストシーンで、フィリップス船長を手当てするオブライエン看護師長役のダニエル・アルバートは、実際の海軍衛生兵であり、撮影がほとんど終わった後に急遽撮影に参加してもらい、監督は彼女に訓練のつもりでやってほしいと話し、そのおかげでリアリティが出たと語った。

 

監督は、海軍の協力について駆逐艦も軍事に備えているため、撮影に使うことは簡単にはできなかったが、結果的に全面協力を得られ、実際の救出に使われたアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦ベインブリッジの姉妹艦で、修理したてで2ヶ月のならし航海を必要としていたトラクスタンを任務の一環として撮影に使わせてもらえることになり、トラクスタンの乗組員も撮影に協力してくれたそうだ。

 

 

さてこれは実話だが、日本人の場合はどうなるだろう。現実としてはとてもではないが救出などはやはり無理だろう。