今や電通という会社は、安倍政権のマスコミ対策にまで関与し、各種メディアの管理をして、報道ストップまで指示ができるというのだ(ということは、自民党への偏向報道の停止を高市を通じてやっていてもなんら不思議はないだろうな)

一応、国策NHKは管理下にないのだが、あそこはすでに政府の管理下だから関係ないだろう。

 

そして、過去には社内でもほとんど重視されてなかった「電通スポーツ局」が今や国際大会のビジネスで大儲けをしており、この分野では他の追随を許さない圧倒的な強さがある(最近は、他社もこの旨味に釣られてその甘い汁を吸いに昆虫のように群れて流らしい)。

 

 

2020年東京五輪誘致に関する裏金問題では、日本のメディアが、一切「電通」を報じてないのは、各社がオリンピックのスポンサーになっているからなのである。

 

経営の厳しい新聞4社が東京五輪のオフィシャルスポンサーになれた裏には電通の存在があったわけで、1社あたり15億円出す代わりに数兆円規模の広告先を電通が保証してくれるという旨味があるから当たり前の話でしょう。

 

元々ロビー活動に長けている韓国とは対照的に、日本はそのような活動がとても苦手な国なので、経験を重ねたスペシャリストも少ないという事情から、今回の支払先となったような海外のブローカーにその役目を金銭的報酬を払って依頼するのは日本ならではの選択とも言えるのかもしれない。

 

2020年オリンピック誘致のため、コンサルティング会社のブラック・タイディング社を紹介(ディアク氏との関係及び総額約2億3千万円)したのが「電通」と言われているが、そのことについては、何の不思議もない(しかし、この件で電通はいくらくらい鞘取りしたのだろうか)。

 

 スポーツが、「平和の祭典」「国際親善」「青少年の健全な活動」という枠を超えて、「ビジネス」の側面を大きく持ち始めたのは1970年代ころからと言われていて、1984年のロサンゼルス五輪が「スポーツがビジネス化、プロ化に向かった大きなきっかけ」と言われている。

 

 今回問題のテーブルに上がっている電通は、1982年に世界のスポーツ・ビジネス界の実力者であるホルスト・ダスラーと共同で、ISLという会社をスイスに設立する。ダスラーは短期間のうちに、IOC、FIFAだけでなく、IAAF(世界陸連)、UEFAの権利も得て、世界の主要スポーツ・ビジネスを手中に収めていく。電通の資金力、日本企業の経済力と世界マーケットへの進出意欲がそれを支えた。

 

 スポーツはこうして、〈純粋な競技への愛情と情熱を持つ熱心な元選手たちによって運営される分野〉から、〈大金を生み出すビッグ・ビジネスの素材となり、スポンサー企業の広報宣伝を主な目的として、広告代理店がその中枢を担う分野〉に転換してしまった。

 

東京五輪招致活動の際に、開催地決定の投票権を持つIOC(国際オリンピック委員会)委員に総額2億3000万円も渡していたという贈収賄疑惑が大きな話題になった。

 

そのスクープを報じた英ガーディアン紙の記事には、その疑惑の鍵を握る存在として日本の広告代理店最大手の「電通」の名が繰り返し登場した。

 

 

同紙は、「疑惑と電通の関係」にさらに踏み込んでおり、世界反ドーピング機関の報告書を紹介するかたちで以下のように記していた。

 

「BT(ブラック・タイディングス)社(電通が送金をした相手であるシンガポールのコンサルタント会社)の口座は、アスリート・マネジメント・サービス社(以下、AMS社)のコンサルタントであるイアン・タン・トンハン氏によって管理されている。AMS社は(電通関連会社の)電通スポーツがスイスのルツェルンに作り、国際陸連から与えられた商業的権利の配分を行っている」

 

 それが事実ならば、国会に参考人として呼ばれた竹田恒和JOC会長が答えたように、電通から招致委への「(BT社は)実績がある」という説明が、お手盛り推薦だったという問題も浮上しかねなかった。

 

 

 海外の疑惑拡大にも関わらず、国内メディアが「電通」の名を報じる例は極めて少ない。

 ガーディアン紙報道の2日後から新聞各社はこの問題を報じたが、それもかなり腰が退けており、「電通」と企業名を書いたのは朝日朝刊が最初であったがそれも記事の最後でわずかに触れたのみだった。

 

一方、テレビ各局の対応は、放送の録画を確認する限り、竹田氏の国会答弁を『報道ステーション』などが報じるまで、「電通」という言葉は確認できなかった。

 

博報堂出身で『電通と原発報道』の著作がある作家・本間龍氏が以下のように指摘する。

「及び腰の正体はメディアの自主規制(要因は全く異なるが、それはまるで阿部自民党政権にも同じ対応を感じるのである)である。特にテレビに顕著ですが、代理店の機嫌を損ねたくないのです。テレビ局側は“代理店を怒らせたらCM枠販売に支障が出る”と懸念し、勝手に報道を自粛してしまう。各局とも広告収入が減る中で、遠慮が大きくなっている」

 

 さらに、電通と各テレビ局は五輪をはじめスポーツ中継やイベント開催などで密接な協力関係にある。また、朝日、読売、毎日、日経の大手新聞4社も、東京五輪のオフィシャルスポンサーとして合計60億円のスポンサー料をJOCに支払うことが決定している。“東京五輪ビジネスの仲間”であることも尻込みする一因なのだろう。

 

 結局スポーツ界は広告代理店に軒先を貸したつもりで母屋を取られた格好になってしまった。