テレ東のWBSによると、政府のもとめに応じて塩野義製薬が咳止め薬の「メジコン」を増産するそうです。
販売名       薬価   
メジコン錠15mg 5.7円/錠

因みに、よく風邪で処方されるPL配合顆粒(6.5円/g)よりも安い。


メジコン錠の有効成分はデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物ですが、化学名で表すと(9S,13S,14S)-3-Methoxy-17-methylmorphinan monohydrobromide monohydrateとなります。
化学を齧った人間なら想像つくと思いますが、これ、合成するのにすごい手間が掛かります。

有効成分自体が高いのに薬価が5.7円/錠しかないのでただでさえ儲からないと思いますが、塩野義さんは工場を3交代制に変更して24時間稼働させることによってひと月の生産能力を5割程度増やすとのこと。
と言うことは、夜勤分の割増賃金が余計に掛かることになるので増産分は確実に赤字になると思われますが、それでも増産する決断を下したことには頭が下がります。特に夜中の咳はキツイので、患者さんにとっては塩野義さんの決断は大変有難いことだと思います

しかしながら、作れば作るほど赤字になるのであれば事業として継続出来ません。
かと言って薬価を上げれば医療費も上がり、保険料率を引き上げなければなりませんが、現役世代としてはこれ以上の負担増には耐えられません。
ならば受益者の負担増、即ち窓口での負担割合を現役世代5割、そのほかを3割にするなどして病院での安易な受診を控えさせ、軽い症状であれば市販薬で治すように促すと言った医療保険制度の改革が必要だと思います。
(医師会は猛反発するでしょうが医療保険制度が崩壊すれば元も子もないですし、公的医療保険に加入していれば高額療養費制度(同一月に高額な医療費の自己負担が必要となった際に、限度額を超えた分について払い戻しを受けられる制度)と言うセーフティネットがあります。)
案外、厚労省は医療保険制度改革のために薬不足を逆手に取ろうとしているのかも知れません。