ナカミチのCDプレーヤー。
再生不可のジャンク品でしたが何とかなるかなと思い、入手したもの。
1986年発売、定価は288,000円でした。
自分が手に入れたCDプレーヤーの中では最も高価なものかも知れない。
CDプレーヤーのデビューは1982年ですが、ナカミチは出遅れ、最初のCDプレーヤーは1984年のOMS-70で、本機はその2代目にあたります。
デザインは当時のナカミチのカセットデッキにも通じるもので、一目でそれと分かるものです。
中身は至ってオーソドックス。
左側にCDドライブユニットとその後方にEI型電源トランスが、右側の上段にコントロールユニットと電源回路、下段にはオーディオ回路が備わっています。
ドライブユニット近影
ドライブユニットは当時8万クラスのCDプレーヤーにも採用されていたリニアモータートラッキング式ではなくギア式で、カセットデッキで培ったメカトロニクス技術が活かされているのかも知れません。
ドライブメカニズムは亜鉛合金ダイキャストシャーシに直付けされており、それがボディシャーシからフローティングされています。
で、本機の故障の原因ですが、
ピックアップをスライドさせるモーター部を固定するネジの緩み、脱落でした。
ネジの装着と増し締め、それと念のためゴムベルトも交換して始動。
何事もなくTOCを読み込み、再生を確認出来ました。
早速2ndシステムに組み込み、試聴してみることに。
音の傾向としてはCD-34に近く、よりワイドに、より深く滑らかにと言った感じです。
この当時、まだまだCDはアナログに及ばないと言われ、とにかく音が硬くドンシャリ気味で滑らかさや艶やかさがないと感じるものが多い時代でしたので、この音はかなり評価が高かったのでは思われます。
でも、CD-34の価格は59,800円。いくらCD-34よりも音は上とは言え、果たして20万円以上の価値があるのか?おまけに重量は7.4kgと、僅か0.4kg重いだけ。当時、御大が「迷ったら重い方を買え!」と言われ、重厚長大が持て囃された時代でもあるので、あまり一般受けはしなかったのではと思われます。
カセットデッキで一時代築いただけあって音はトロいけど位相はしっかりと揃い、ハイスピード系のシステムで聴いても一切の破綻がなく、その音作りはとても丁寧で流石。
秋の夜長に聴くのも一興と言うものです。(DCD-900NEのエージングが一向に進んでないんけどね。)