興和は31日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症 治療に対する第III相臨床試験(開発コード:K-237)で使用している治験薬「イベ ルメクチン」が新型コロナウイルス感染症のオミクロン株に対して効果を発揮することを確認したと発表した。
しかし、これは(発表資料には書いてないが)試験管レベルの研究結果で、オミクロン株を培養細胞に感染させた後、イベルメクチン投与した場合に効果が確認されただけで、実際の第III相臨床試験(開発コード:K-237)での成果では無いところがミソ。「なお、本臨床試験では、寄生虫感染症治療薬としてすでに承認されている用法・用量と 異なっています」と発表資料にあるように、これを読んだ素人が寄生虫感染症治療薬として発売されているイベルメクチンを勝手に輸入し服用しても知らんよと言っている。(医師から処方されずに処方箋医薬品を勝手に購入して服用した場合、重篤な副作用に遭っても医薬品メーカーは一切責任は負わず補償もしません。)

一方、奇しくも同日、塩野義製薬も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の第2/3相臨床試験結果に関する発表を行っており、これまで実施してきた第2/3相臨床試験のうち、Phase 2a partの抗ウイルス効果、および安全性に関する速報についての発表となっている。

結果に関する要約は以下のとおりで、

・  プラセボ群と比較してS-217622群で速やかなウイルス減少効果が確認された。

・  プラセボ群と比較してS-217622群で速やかにウイルス力価陽性患者の割合が減少した。

・  本治験において、高度な有害事象も重篤な有害事象も確認されず、忍容性が確認された。

と言うものである。


この二つの発表資料を見ると、興和と塩野義、実に対照的である。昨晩のNHKニュースが後者しか報道しなかったのは流石としか言いようがない。