20090221 日経プラスワン
二〇〇八年十―十二月期の実質経済成長率がマイナス一二・七%(前期比年率)と約三十五年ぶりの景気悪化に直面する日本経済。株価や地価のさらなる下落が懸念され、個人の金融資産を取り巻く環境は厳しさを増している。家計はこの局面にどう対処すべきか、専門家に聞いた。
見解を求めたのはファイナンシャルプランナー(FP)の深野康彦氏、畠中雅子氏、内藤真弓氏と田辺経済研究所代表の田辺孝則氏。運用環境の現状と見通し、個人の保有資産の見直し法や防衛術、家計管理のポイントなどを尋ねた。
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四氏にほぼ共通する認識は、今回の景気悪化は通常の景気循環の中での一時的な落ち込みとは状況が異なるという点だ。深野氏は「経済危機の根は予想以上に深く、景気の底入れにはまだ二―三年はかかる」と予想。田辺氏は「米国の大恐慌時のように景気が底割れする可能性が一割はある」として、最悪シナリオに備える必要性も指摘する。
畠中氏も「景気が上向けば何とかなるという過去の経験則に基づく甘い考えは通用しない」と主張。内藤氏は「右肩上がりの時代は終わった。個人の資産運用環境は劇的に変化した」としたうえで「回復の見込めない資産は処分する方がよい」と助言する。
では、景気の一段の悪化に備え、個人はどのように金融資産を管理したらよいか。田辺氏は「生活防衛などを考えて、常に現金や預貯金を確保しておくことが重要」と話す。畠中氏もリストラや収入減、勤務先の倒産といったいざという場合に対応するために「最低でも年収の半分、できれば年収と同額の預貯金を持つことが大切」と指摘する。
相場の急落で株式を保有する個人の大半は多額の含み損を抱えている状況だろう。内藤氏と深野氏はまず「自らの資産状況を正確に把握することが重要」と強調。損失が広がると多くの人は資産の現状を見なくなり、塩漬けにしてしまう傾向が強いためだ。畠中氏は「できるだけ元本保証のあるものにシフトする」ことをすすめる。
一方で、すぐに必要としない余裕資金は「経営破綻リスクの小さい個別株を四―六月にかけて時間分散して少しずつ買っていく」(田辺氏)など、長期的な視点での運用は継続した方がよいとの意見が多かった。畠中氏は自身で「株主優待でお米がもらえる銘柄を買っている」と、値上がりよりも株主還元を重視した銘柄選びを実践している。
深野氏は「潜在成長力が高い新興国株のウエートを高める」ことを助言。深野氏が現時点で理想とする資産配分は現預金四五%、先進国株式一五%、新興国株式一五%、残り二五%を債券などで運用する形だ。
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家計防衛の観点からは「生活水準のコントロールも重要」との指摘も目立った。内藤氏は家計の中で保険の無駄が多いことを強調。「保険は最低限必要な大きなリスクに備えるものに絞り、できるだけ保険料を下げる形で契約を見直すべきだ」と訴える。
畠中氏は「収入に見合わない額の教育費を支出している人が多い」と懸念。収入が増えない中では生活費の節約に加えて「教育費という“聖域”に切り込む勇気が求められる」と強調する。不況期の個人の資産・家計管理には発想の転換も求められるようだ。
(長谷川岳志、大角浩豊)
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