20090129 日本経済新聞 大阪夕刊

 【ワシントン=米山雄介】米連邦準備理事会(FRB)は二十八日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、最重要の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現行の年〇・〇―〇・二五%で据え置くことを賛成多数で決めた。声明は市場への資金供給策として「長期国債を購入する用意がある」と、実施に向け準備段階に入ったことを明記。金融緩和の一段の強化に含みを持たせた。景気判断を下方修正するとともにデフレへの懸念もにじませた。
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 今回はオバマ新政権発足後、初のFOMC。声明は「景気回復と物価安定へすべての手段を動員する」と改めて宣言。政権と足並みをそろえて、米経済再生に全力を挙げる姿勢を鮮明にした。
 FF金利については「しばらくの間、例外的に低い水準になる可能性がある」との表現を踏襲。事実上のゼロ金利を当面続ける方針を確認した。低金利が長期にわたって維持されるとの安心感を市場に与えることで金融緩和効果を高める「時間軸効果」を引き続き狙う。
 長期金利の低下要因となる長期国債の購入では「信用市場の改善に効果的と考えられるなら、その用意がある」と明記。「利点を検討している」とした前回声明から実施に向け一歩踏み込んだ。
 バーナンキ議長が「信用緩和」と命名した市場への資金供給策では「多額の政府機関債や住宅ローン担保証券(MBS)の購入を続ける」と説明。住宅市場のテコ入れへ「状況に応じてさらに拡大する用意がある」と強調した。
 中小企業や家計の資金繰り支援へ、中小企業向けローンなどから組成した資産担保証券(ABS)を裏づけにした新融資制度を始めることも改めて表明した。
 景気認識では「経済はさらに弱まった」として判断を下方修正。「世界的に需要が著しく減退している」と分析した。今年の遅い時期に緩やかな景気回復が始まるとの見通しを示す一方、「下振れリスクは非常に大きい」と警告した。物価面では「インフレ率が経済成長や物価安定を促す水準を当面下回るリスクがある」と指摘。直接的な表現を避けながらも、デフレへの懸念をにじませた。
 採決ではバーナンキFRB議長ら八人が賛成。一方、リッチモンド連銀のラッカー総裁は国債購入による通貨供給量の拡大を主張し、一人反対に回った。
 ▼信用緩和 債券の買い取りや金融機関への融資などを通じ、信用収縮が起きている市場に直接、資金供給する形で金融緩和の効果を狙う政策の枠組み。米連邦準備理事会(FRB)が事実上のゼロ金利に移行した前後に打ち出した緩和策の総称として、バーナンキ議長が自ら命名した。
 中央銀行のバランスシート(貸借対照表)が結果として拡大し、市場への資金供給が増える点では「量的緩和」の一種といえるが、日銀が実施した量的緩和と違って当座預金残高などの政策上の数値目標は設定しない。

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