20090129 日本経済新聞 大阪朝刊

奨学金増額やバイト紹介
 急激な景気悪化で学費などの支払いが困難になった学生を支援する大学が相次いでいる。奨学金の給付対象者を増やしたり、学内での仕事をアルバイトとして紹介したり。「学生が勉強をあきらめずに済むようにしたい」。保護者が解雇された新入生ら向けに急きょ入学金免除の特別枠をつくる大学も現れるなど、不況風が学びの現場にまで吹き付けている実態が浮き彫りになった。
 「学費が払えず辞退するという入学予定者はこれまでほとんどいなかった。推薦入試が終わった昨年秋、十件以上の相談を受けて驚いた」。大阪工業大などを経営する学校法人常翔学園(大阪市)の広報担当者は話す。
 これを受けて同学園は二十八日、奨学金の支給対象を従来の二年生以上から二〇〇九年度は新入生にまで広げることを決定。奨学金の総額も前年度の三割増の約八億五千万円にする。対象者は五百人近く増える見通し。増加分の対象者は経済事情のみを理由とし、学力や生活態度に関する基準を初めて取り払った。
 申請する学生には保護者の解雇など、学費の支払いが困難になったことを証明する書類を提出してもらう。担当者は「何とか学生が勉強をあきらめずに済むよう、入学辞退を相談してきた人には改めて連絡したい」と力を込める。
 立命館大(京都市)も経済的理由で修学が困難な学生への奨学金を〇九年度は前年度より拡充。在学生向けは二億円多い総額約五億円とし、対象人数も約千二百五十人へと約五百人増やす。入学直前になり諸費用が払えなくなった入学予定者への入学時給付奨学金も対象者を二百人、予算は一億円とともに十倍にする。
 昨年十月以降、学生から「家業の経営が厳しい」「親が失業した」などの相談が相次いだことから、大学側は家計事情の急変で修学を断念する学生が増えると判断した。受験生からの奨学金に関する問い合わせは一日約二十件に上るという。
 入学金免除の対象者に特別枠を設けるのは大分大(大分市)。当初予算のほかに約一千万円を用意。〇九年度の新入生のうち最大四十人を対象とする。入学金や授業料の免除制度は以前からあったが、今回は昨秋からの不況の影響を直接受けた家庭に対象を限定。通常は必要な学力基準も不問とし、保護者が解雇されるなどした新入生には入学金全額(二十八万二千円)を免除する。
 学生の生活費を支援しようと、学内アルバイトを紹介する大学も。
 県立広島大(広島市)は今年四月以降、学費の支払いが困難との相談に来る新入生には学内の仕事を紹介する。対象は約十人。地域貢献事業で使う資料の作成など学生の勉強を妨げないような仕事を中心にし、一日八時間の労働で約七千円の収入になるようにする。

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