20090129 日本経済新聞 夕刊
投資信託の販売に力を入れる銀行が多いなかで、山陰合同銀行の頭取、古瀬誠(62)は一貫して預金にこだわってきた。銀行の手数料を稼ぐために投信を扱うという発想はない。「この地域は保守的な土地柄。無理にリスクを取らせて失敗すると、大事な顧客基盤を壊しかねない」
投信はどうしても買いたいという顧客のための品ぞろえ。個人預金は二兆円を超えるのに、個人向けの投信販売残高は一千億円に満たない。
かたくなな経営方針は結果的に顧客を守った。金融危機がきて大きな損失を被った顧客は、ほかの地域に比べて少なくて済んだ。
山陰合同の地盤である島根、鳥取両県を合わせた面積は東京都の五倍弱。そこに約百三十万人が住んでいる。島根は高齢者人口の割合が全国一。地銀として地域への責任を考えると人口密度が低いからと金融サービスの質は落とせない。
およそ五百五十台のATMを設けているが、一日百件の利用があればよく稼働している方だ。古瀬は「投資効率が悪いのは仕方ない。それでもちゃんとやっていける体制を整える必要がある」と考えてきた。
目をつけたのが運用業務だ。産業基盤が弱いだけに融資には限界がある。そこで顧客にお金を預けてもらって、プロである銀行がリスクを取ってそれを運用する方針を明確にした。
運用であげた収益でATM網などを整備して大都市並みの金融サービスを顧客に提供する。リスクを顧客に取らせ、手数料だけ稼ごうという多くの銀行の考え方とは正反対だ。
ただ、運用での失敗は許されない。古瀬は「運用は銀行の本業」と位置づけ、自ら運用内容に目を光らせている。
顧客から預かった資金を棄損させられないので、運用資金の七割を国債、一割強を地方債で運用し、信用リスクはほとんど取らない。
一部実験的に手がけていた信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連で損失が出た。しかし二〇〇七年のうちに先行きの株式相場の下落を見越した株売りでカバーし痛手はほとんどなかった。
健全性を示す自己資本比率は〇八年九月末で一四・九%と地方銀行でトップだ。預金を預けてもらう以上、健全経営は前提条件。運用を積極的に手がけるには、バッファーとしての厚い資本基盤が欠かせないとの考え方も背景にある。
古瀬は一九六九年入行。ふそう銀行との合併などを手がけた。業務渉外部長、営業統括部長、総合企画部長などを経て、〇七年に頭取に就任した。
力を入れているのは県と一体になった地域振興だ。県と協定を結び、地域の情報を取り込んだデータベースを作り、それを基に地元企業を支援する。「例えていえば、株式会社島根県の情報と金融を請け負っているようなものです」
地域を考えたとき、「貯蓄から投資」は必ずしも万能ではない。危機の後、金融秩序をどう再構築するかのヒントが山陰合同にあった。=敬称略
(編集委員 太田康夫)
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