20090129 日本経済新聞 夕刊
介護保険の報酬体系が四月から改定される。減額が中心の過去の改定と違い、初めて三%の増額になる。各サービス事業者は昨年末に発表された新報酬をにらみ、事業計画見直しを急いでいる。
■ ■
コムスン事件で明らかになった介護従事者の低賃金、離職者の急増を改善するのが今回の改定の狙い。当初「職員給与の二万円増」がうたわれ、厚生労働省が躍起になって否定した経緯もある。
増額分は、サービスごとに専門職の割合などの基準に応じ、従来の介護報酬の単価に加算して事業者に支払う。同省は医療との連携や認知症ケアに重点を置いたという。その結果、サービスによって明暗が分かれた。
加算の多さで目を引くのは老人保健施設の短期集中リハビリ。加算額を従来の四倍に引き上げるとともに、中重度の認知症高齢者や日帰りの利用者の場合も対象にした。これだけで「月に百万円前後の増収になる」と話す関東地方の施設もある。
理学療法士、作業療法士などリハビリ職が二十分以上実施するもので、これら専門職への求人が熱を帯びそうだ。老健には夜勤職員を配置したり認知症情報を提供した場合の加算も新設された。
特別養護老人ホームにも重度者対応や夜勤配置の加算を新設。多人数の通所介護に適用していた減算措置の撤廃も特養の収入増につながる。
これら従来の大型施設に対して、介護保険制度の創設で登場した新規サービス事業者は「期待外れでとても給与増にならない」(川崎市の事業者など)と表情は暗い。
認知症の切り札といわれて生まれたグループホームは、退去時相談や夜間ケア、緊急受け入れなど加算の種類は多いが「すぐに取得できるものはほとんどない」(茨城県の事業者)と不評だ。三年前にできた小規模多機能型居宅介護も、「極端に報酬が低い軽度者向けの引き上げを」という要望が通らなかった。
都市部の事業者に対する人件費の加算も見直され、その結果「まさか減収になるとは」と驚く事業者がいる。横浜、大阪、神戸など主要都市圏にあるグループホーム事業者だ。都市部での高齢化率の急増とともに需要は高まるが、「事業意欲が衰える」と関係者は頭を抱える。
特定非営利活動法人(NPO法人)や有限会社が地域密着の活動をしているのが訪問介護事業。「短時間サービスの基本単価が上がっただけでがっかり。総収入が一%しか増えないのでヘルパーの時給も上げられない」(栃木県のNPO法人)と、「二万円増」との落差に憤る。
■ ■
厚労省が二〇〇三年にまとめた報告書『2015年の高齢者介護』では、「在宅サービス重視」「大規模施設ケアから小規模の個別ケアへの転換」を高らかにうたった。その路線とは逆方向の加算になったようだ。
大規模施設に手厚い今回の改定は「介護保険以前への先祖返り」という厳しい見方が、当時の厚労省の担当者からも聞こえる。
(編集委員 浅川澄一)
----------------------------------------------
・短期海外旅行保険の比較、長期海外旅行保険の比較相談
・留学生・ワーキングホリデーの保険比較
・企業包括契約、外国人受入など
・女性向け保険サイト-乳がん、子宮筋腫等の情報も満載-
・妊婦でも加入できる医療保険。妊娠中の帝王切開にも対応!
・オリックス生命 CURE Lady(キュア・レディ)
・保険総合サイト