20090128 日本経済新聞 地方経済面
世界同時不況が長野県内の企業経営や家計に暗い影を落とすなか、国内市場で稼ぐ内需型産業が健闘している。出費を抑えるため休日を自宅付近で過ごす「安近短」や、食事を家で済ませる「内食化」といった傾向が加速。円高に伴う原料安も追い風だ。現状では数少ない好調業種だけに、県内景気下支えの役割を期待する声は多い。
長野市の長野南バイパス沿いで、書籍や文具を扱う「書籍館」と音楽・映像ソフトレンタルなどの「TSUTAYA館」を運営する蔦屋書店長野川中島店。二十二日木曜日の昼過ぎ。老若男女を問わず幅広い年齢層の来店客で込み合っていた。
昨秋以降、一段と景気後退が進んだにもかかわらず、同店の客数は「一割強のペースで伸びた」と野嵜隆哉店長。出費を抑えるため余暇を家で過ごす人が増え、既存客のリピーター率が向上。昨年十一月の全面改装を機に教養や自己啓発の書籍、昔懐かしのテレビドラマなどを充実させたことが「シニア層を中心に顧客層の拡大にもつながった」(野嵜店長)。
家族向けゲームセンター「アピナ」を郊外を中心に二十店展開する共和コーポレーション(長野市)。昨年四月以降、ガソリン高が響いて客足が前年を一〇%近く下回っていたが、「昨秋からブレーキがかかってきた」と宮本和彦社長。安近短志向を強める利用者が増えたためで、なかでも年末年始は「高齢者同士などのこれまでにない顔ぶれが目立った」。
家計の内食化傾向を取り込んだ食品メーカーも好調だ。キノコ栽培大手のホクトは主力のブナシメジの販売が好調で、二〇〇九年三月期の純利益を二割増と見込む。
経済的な食べ物として鍋料理に注目が集まっているうえ、カレー鍋など料理の種類が増えたことも寄与し、需要が拡大。さらに節約志向の強い消費者が「鍋の中で高価な肉を減らす半面、キノコを増やしている」(高藤富夫専務)という。この結果、昨年十二月のブナシメジの販売価格は前年を一七%上回った。
ハムとソーセージが主力の信州ハム(上田市)は食品スーパー向けの低価格商品が好調で、外食産業からの国産ウインナーの受注も伸びている。昨年十―十二月の売り上げは前年比七%増え、円高による豚肉の輸入コストの低下も収益を押し上げた。ひかり味噌(下諏訪町)は「手作り感のある国産生みそが伸びている」といい、昨秋以降の売り上げは前年比五―一〇%増で推移した。
景気悪化が刻々と進むいま、こうした内需型企業に景気のけん引役を求める声は高まっている。村井仁知事は日本経済新聞のインタビューで「内需拡大や円高で恩恵を受けている企業こそ積極投資に踏み切ってほしい」と語った。ホクトが一二年九月までに国内三カ所にブナシメジ工場を新設するなど、国内需要の拡大をにらんだ設備投資に乗り出す動きもある。
ただ、内需型企業がおしなべて好調というわけではない。県内中堅みそメーカーは「大豆価格の上昇を見越し、今年夏までの大豆は〇七年十一月にまとめて購入した」といい、足元の円高や原料安の影響は全く受けていない。「景気後退のサービス業への影響はこれから本格化する」(共和コーポの宮本社長)と、個人消費の先行きを不安視する声も少なくない。
内食化や安近短、原料安など、現在の景気後退局面が内需型企業に追い風なのは確かだが、この状況がいつまでも続く保証はない。景気が回復すれば、経済性や割安感だけで競争を勝ち抜くのは難しい。逆に景気悪化に加速が付けば、追い風がしぼむ可能性もある。好調な今こそ顧客ニーズを改めて見つめ直し、将来を見据えた“種まき”の戦略を採る必要もある。
(田島如生)
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