20090124 日経プラスワン

 苦境が続くといわれる出版業界。だがこうした状況下で売り上げを好調に伸ばしているのが、節約術を取り上げた実用本だ。中でも自宅で簡単に作れる酒のさかなの料理法などを紹介した「つまみ本」の人気が高まっている。
 専門コーナーを設ける丸善丸の内本店(東京都千代田区)では「食品の値上げが目立ってきた二〇〇八年春ごろから売り上げが急速に伸びてきた」という。ブームの火付け役となったのが、〇七年九月発売の「おつまみ横丁」(池田書店)だ。
 「横丁酒場で味わうような素朴であきない定番おつまみ」をテーマに百八十五品の調理法を掲載。長々と説明せず、手順を三項目に絞って説明したのが特徴。丸善丸の内本店だけでも千三百部を販売。池田書店によると発売後、累計で五十二万部売れたヒット作となった。
 このほか「決定版 すぐ作れる酒の肴(さかな)とおつまみ」(講談社)、「もう一軒 おつまみ横丁」(池田書店)なども人気が高い。全国各地の書店に専門コーナーが広がっており、中年サラリーマンや主婦、高齢者が買ってゆく姿が目に付くという。
 出版科学研究所によると、書籍の国内市場は一九九六年をピークに減少基調が続き、二〇〇七年は前年比三・二%減の九千二十六億円。だが「つまみ本」は新刊が相次ぎ、「低迷気味の出版業界では異例の活況を呈している」(書籍取次大手)。
 家計調査で四半期ごとの外食費(勤労者世帯)を見ると、〇七年七―九月期以降、減少基調が続くなど、節約のために外食を控えて自炊を増やしている消費者の実態が浮かび上がる。さらに食の安全意識の高まりも自炊志向に拍車をかけている。「つまみ本」はこうした消費者のニーズをうまくすくい取り、人気を博しているようだ。
(編集委員 小林明)

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