20090122 日本経済新聞 朝刊

成長率条件など削除
 二〇一一年度からの消費税増税を含む税制抜本改革を税制改正関連法案の付則に明記する問題で、麻生太郎首相は自民党内の増税反対派に配慮する文言の修正を最小限にとどめようと腐心した。「一一年度引き上げ」を可能とする表現が大きく後退すれば、首相答弁との整合性が問われ、一段の求心力低下につながるとの危機感があった。二十三日の閣議決定に向け焦点は中川秀直元幹事長ら増税反対派の動向に移る。(1面参照)
 「おれの答弁を変えるようなことだけはやめてくれよ」。首相は二十一日、首相官邸に招いた自民党の保利耕輔政調会長らにクギを刺した。「準備」など首相の後退を印象付ける表現を盛り込んだ案が前日の派閥会長会合で取りざたされ、警戒していたからだ。
■2段階案示す
 保利氏は「それではみんな賛成できない」と首相を諭しつつ、「施行期日等を法制上定める」との案を示した。不況が続く場合、まず消費税増税の実施日を書かない法案を出し、経済好転後の国会に実施日を定める法案を出す「二段階」案だった。景気が回復すれば別々の法律にせず「一段階」でも構わない。
 昨年末に閣議決定した税制改革の工程表「中期プログラム」の表現を大きく変えないことが、首相の条件。「一一年度から上げるため、それまでに措置すると読めなければならない」(周辺)としていた。この案なら首相のメンツは保てる。
 首相は二十一日、記者団に「何段階方式でも、私の申し上げている通りに文面が書かれているのが一番肝心。それがすべてだ」と強調した。
 党政調幹部は「増税反対派も事態収拾を考えている。この文案なら了承してくれるのではないか」と自信を示した。
■不確定要素も
 増税反対派が問題視してきた「潜在成長率の発揮」を判断基準とする中期プログラムの記述が、内閣法制局との調整で「法律になじまない」として削除されたことも、結果として「落としどころ」になる可能性がある。
 増税反対派のうち、山本一太参院議員ら中堅・若手は二十一日夜の会合で(1)現時点で実施日は決めない(2)「潜在成長率」は削除する――などが確認できれば、受け入れ可能との認識で一致した。「潜在成長率」削除は、中川氏がかねて指摘してきた論点でもある。
 ただ増税反対派には「実施日を定めないにしても、消費税増税法案を一〇年にも国会提出すること自体が受け入れがたい」との意見もくすぶる。反対派を説得することができるのか、なお不確定要素が残っている。
税制法案付則の政府案(抜粋)
 経済状況を好転させることを前提に、遅滞なく段階的に消費税を含む税制の抜本改革ができるよう二〇一一年度までに必要な法制上の措置を講じる。これにより一〇年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立する。改革の施行期日等を法制上定めるに当たっては、景気回復過程の状況と国際経済の動向等を見極め、予期せざる経済変動にも柔軟に対応する

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