20090108 日本経済新聞 地方経済面

 四国でも個人マネー運用の「貯蓄から投資へ」の流れにブレーキがかかっている。昨年九月のリーマン・ショック以降、世界中を襲った金融危機の影響で、富裕層など個人投資家の運用姿勢が防衛色を強めているためだ。資金を投じる金融商品では定期預金を中心に確定利付きの商品に人気が集まる一方、投資信託の販売は株価下落に伴う運用不振などが響き急速に落ち込んでいる。
 「今はどんな金融商品を選べばいいのか分からない。当面は定期(預金)で様子を見よう」。伊予銀行の店頭では顧客からこうした声が漏れる。同行は十―十二月に前年同期を三百億円上回る九百億円の個人預金を獲得。うち定期は七百億円に上った。「普通預金から定期へ移す動きも多い」(広報文化室)という。
 金融市場の激変を受け慎重姿勢を強める個人投資家が増え、安定した運用先の定期預金にマネーが流れているようだ。四国銀行でも定期預金の残高が十二月に前年同月比約一%増加。阿波銀行や高知銀行も前の年に比べ増加傾向にあるという。
 地域金融機関や大手銀行は定期預金の品ぞろえ拡充を競っており、四国銀は十月にカツオのたたきなど高知県産品が付く定期預金を発売。三菱東京UFJ銀行徳島支店では、クレジットカードに加入した人に金利を優遇する商品などが人気を集めている。
 証券会社の顧客にも安全志向がみられる。人気商品は、満期まで保有すれば確定利付き商品と同じ効果が見込める国債や社債。野村ホールディングスが発行した個人向け劣後債は、表面利率が三・六%と高いことも手伝い売れ行き好調だ。大和証券グループ本社の個人向け普通社債も需要は堅調という。野村証券徳島支店の畑靖史支店長は「増やすより、資産を守りたいという発想が強まっている」と指摘する。
 一方、売れ行きがぱたりと止まったのが投信。国内株への投資を中心に運用する投信は株価低迷で、外債投資で運用する投信は円高を要因に、ともに資産価値を示す基準価格が下落したためだ。
 香川銀行の十、十一月の投信解約額は販売額の三―四倍に達した。同行は「商品の決め打ちではなく、顧客のニーズをきちんとつかみ、投信や保険、外貨などを柔軟に勧められないと購入に結び付かない」(営業店統括部)と思案する。
 香川証券(高松市)でも十―十二月の投信販売額は前年同期の四分の一程度に落ち込んだ。
 このため地方銀行や証券会社は投信を購入した顧客のつなぎ留めに躍起だ。四国銀は投信の購入者を対象に九月から十二月にかけて高知、徳島、香川三県の十六カ所で運用説明会を開催。延べ八百九十人が参加した。他にも顧客への説明に力を注ぐ金融機関は多い。




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