20090107 日本経済新聞 朝刊

 【北京=高橋哲史】中国人民銀行(中央銀行)金融市場局の霍穎励副局長は六日の記者会見で、二〇〇八年十一月末の商業銀行の不動産向け貸出残高が前年同期比一〇・三%増の五兆二千四百億元(約七十兆円)だったと明らかにした。伸び率は前年同期より二〇・六ポイント低下。〇七年までバブル懸念が強かった中国の不動産市況は調整色を強めており、不動産向け融資の急速な伸びの鈍化につながっている。
 〇八年十一月末の不動産向け貸出残高のうち個人向け住宅ローンの残高は前年同期比一〇・六%増の二兆九千五百億元。増加率は前年同期より二五・八ポイント低下した。同じ期間に全体の人民元貸出残高は一六・〇%増えており、不動産向け融資の伸びの鈍化が際だつ。
 銀行が不動産向けの貸し出しを大幅に絞り込んでいる背景には、昨年夏ごろから不動産市況が急速に冷え込んできたことがある。主要七十都市の不動産販売価格の前年同月比伸び率は〇八年一月に一一・三%のピークを付けてから下がり続け、十一月には〇・二%まで落ち込んだ。前月比でみた伸び率は既に八月から下落に転じている。
 不動産価格が急激に下がれば、住宅ローンなどの不良債権化を促す恐れがある。人民銀の霍副局長は「商業銀行が抱える住宅ローンの質は良好な水準を保っており、不良債権比率は他の貸出資産に比べはるかに低い」と強調したが、価格下落の加速で不良債権が一気に増える懸念は消えない。



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