20090107 日本経済新聞 朝刊
投資実績 1年以上などの条件
政府は対日投資の促進に向け、ファンドを通じて日本に投資する海外投資家への課税の見直し策を固めた。株式譲渡益を原則非課税とすることが柱。日本に拠点がない既存ファンド経由の投資も対象とし、特定投資家のファンドへの出資比率が二五%未満であることなどを条件とする。世界経済の悪化による対日投資の停滞に歯止めをかける狙いがある。(株式譲渡益課税は3面「きょうのことば」参照)
一般の海外投資家はファンドを通じて自国外の企業などに投資することが多い。だが日本の現行制度では、海外企業などがファンドを通じて日本企業に投資した場合、原則として株式売買時の譲渡益に世界最高水準の法人税(実効税率で約四〇%)がかかってしまう。
国内ファンドへの海外からの出資比率は四%で、英国(七五%)、欧州連合(約六〇%)、米国(約二〇%)などを大きく下回っている。
こうした現状を踏まえ昨年末にまとめた二〇〇九年度の与党税制改正大綱では、ファンド経由の投資を日本の所得税や法人税の課税対象から外すことを明記。政府が詳細を詰めていた。税制改正関連法案を通常国会に提出、非課税措置の四月からの適用を目指す。
対象とするファンドは「投資事業有限責任組合」。最も一般的なファンドで、国内外の八割程度を占めるとされる。投資家が出資金額以上の責任を問われないため、投資家のリスクが膨らまない利点がある。法改正後に開設したものだけでなく既設の内外ファンドも対象とするが、安定した投資を見込むため、日本企業への一年以上の投資実績を前提とする。
非課税対象にする海外投資家についても条件を設ける。(1)ファンドへの出資比率が二五%未満(2)ファンドの運営会社への出資比率が五〇%未満(3)投資家自身が日本で事業をしていない(4)ファンドの運営者や親族ではない――などで、企業買収などではなく運用目的の投資に限る狙いだ。経済産業省によると、対日投資を目的とした投資事業有限責任組合は少なくとも二百以上あるが、投資資金は二兆円にとどまる。
中東諸国など資源国では投資資金が膨張。アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁は八千億ドル超の資金を世界で運用しているといわれる。ただ高い税金などが壁となって、こうした資金の日本への流入は少ない。海外投資家への非課税措置拡充は、資源国からの対日投資を促すきっかけになる可能性もある。
海外からの投資拡大は短期的には円高要因になるが、中長期的には日本企業の投資・雇用の増加など経済を活性化させる効果が見込める。
投資呼び込みを巡っては昨年四月、海外投資家が運用業者などの代理人を日本に置いた場合、その株式譲渡益を非課税にする制度が設けられた。だが、投資家から「コストがかかりすぎる」「代理人の独立性を証明しなければならず、使い勝手が悪い」などの不満が続出し、利用が進まなかった。
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