20090107 日本経済新聞 夕刊
株式相場を見る最大の焦点は、世界景気の行方です。各国が矢継ぎ早に打ち出した財政出動が景気を下支えするとの期待が強まる一方で、低迷は長引くとの予想もあります。厳しい投資環境が続く中では、まずは景気の波に左右されにくい、医薬や電力・ガスなど「ディフェンシブ銘柄」の持ち高を維持する投資家が多そうです。
国際通貨基金(IMF)は昨年十一月、二〇〇九年の世界経済の成長率見通しを三・〇%から二・二%に引き下げました。市場では各国の財政支出や金融緩和を支えに年後半に最悪期を脱するがV字回復は難しいとの見方が多く聞かれます。
慎重な予測の背景には、米国の消費の冷え込みが世界的な需要減を招いていることがあります。T&Dアセットマネジメントの神谷尚志チーフ・エコノミストは「米の家計の過剰負債は三百兆円から四百兆円に達している可能性があり解消に時間がかかる」と分析しています。景気が持ち直しても、借金で膨張してきた米国の消費は容易には元に戻らないと考えるべきでしょう。
危機の発端となった米国の住宅問題も解決には時間がかかりそうです。日経ヴェリタスの調査によると、「米住宅市場の底入れ時期は二〇一〇年以降」と回答した投資家が最も多く、全体の三六%を占めました。
新興国も成長鈍化は避けられないでしょう。中国は景気対策を上積みするなどして「成長率目標の八%を死守するだろう」(国内証券)との見方もあり、注目されるところです。
日本の景気については「外需主導の経済ゆえ海外より遅れて底入れする」(第一生命経済研究所の嶌峰義清主席エコノミスト)、「米欧に比べて金融危機の傷は浅く、財政面から景気を支えやすい」(MU投資顧問の野田清史シニアファンドマネジャー)と、見方が分かれます。
自動車や電機といった輸出株が急落した昨年後半から、投資家の多くはディフェンシブ株の保有を増やしてきました。「相場が戻り歩調になればコマツなど新興国関連株が見直されそう」(日興コーディアル証券の河田剛シニアストラテジスト)との声もありますが、見通しが不透明な中では投資家は慎重です。
景気敏感株への投資は「会社側が二〇一〇年三月期の見通しを提示してから」(国内投資顧問)との声も。資金シフトの時期を探る動きは当面、続きそうです。
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