20081224 日本経済新聞 朝刊

「部分積み立て」賛成7割
高齢者、給付減に抵抗感
 日本経済新聞社の読者調査では、若い人が将来もらう年金が今の高齢者より不利になる現状の改善に、年代を問わず賛意が集まった。本社研究会が示した部分積み立て方式にも現役層を中心に支持が多い。世代ごとの利害が異なる給付や負担水準の具体論になると、回答に温度差もみられる。(1面参照、調査結果の詳細は日経ネットPLUShttp://netplus.nikkei.co.jpに掲載)
 本社の年金制度改革研究会は一月に公的年金の一階に当たる基礎年金部分を全額消費税で賄う方式に衣替えし、そのために税率を五%程度上げる改革案を示した。今月の第二次報告は消費税率の上げ幅拡大による基礎年金の給付安定や、二階に当たる厚生年金(報酬比例年金)の改革案を加えた。読者調査では年金に関する世代別の意識の差も探った。
 ▼具体論は温度差 厚生年金はその時の現役世代が払う保険料を、年金を受け取る高齢者に回す「賦課方式」。少子化で現役世代が減る一方、引退世代の数は長寿化でどんどん増え、若い世代ほど不利になる。
 こうした「世代間の不公平」を緩和すべきだとの考えには「賛成」「どちらかといえば賛成」が八四%に達した。賛成派は三十歳代が八六%、六十歳代が八三%と世代を超えた支持がある。
 第二次報告は厚生年金の保険料のうち一・五%分は自分自身のために積み立てる「部分積み立て」を提唱した。この方式には賛成派が七〇%、反対派が二三%。若い世代だけでなく、高齢層も六割以上が賛成派だ。
 だが具体的な給付の姿が見えてくると、意識の温度差が表れてくる。
 報告は厚生年金の報酬比例部分については給付を二割減らし、若い人が負担する保険料を軽くする改革を盛った。全世代でみた賛否は六四%対二九%だが、三十、四十歳代など現役世代が七割の支持を示す一方、六十、七十歳代の支持は五割程度とやや低い。
 ▼2ケタ税率に抵抗も 消費税率を五%上げて基礎年金の部分を全額消費税で賄う方式に衣替えする一月の研究会報告の考え方には今回、六九%が賛意を示した。前報告後の一月時点でのネット調査では、税方式化と五%の消費税率上げへの賛意は六一%だった。
 第二次報告は、基礎年金の給付水準が徐々に目減りする現行の抑制策をやめる代わりに、消費税率をさらに一・五%高い一一・五%程度とする考えを盛り込んだ。この点では賛成派が五二%に対し、反対派は四四%と、賛否が拮抗(きっこう)する。
 消費税率が欧州などと同様の二ケタ台に上がれば、低所得者ほど「痛税感」は増す。調査の質問では食料品などに対する軽減税率には触れなかったが、一般的には一〇%を大きく上回る税率になお抵抗感が残るようだ。
 この点では二十歳代の四三%、三十歳代の四七%など若い世代ほど賛成派が少なめ。七十歳代の賛成派は六〇%で、世代によって受け止め方に差が出ている。
 ▼パート加入は支持 一階の基礎年金部分を税方式に切り替えた場合、雇用主の企業にとっては従業員と折半の年金保険料の負担がなくなる。その金額は約三兆七千億円と膨大だ。
 二次報告はこの企業負担軽減分もパート社員やフリーターといった非正規雇用者の厚生年金への加入拡大や部分積み立ての財源にあてる考えを示した。賛否を聞くと、全体では賛成派が七四%とほぼ四分の三で、反対派はわずか二一%。
 企業の負担軽減分を従業員にきちんと還元してほしいという意識は、人々の間で根強い。最近の急速な雇用悪化が影響した可能性も考えられる。
 読者調査は日本経済新聞社のニュースサイト「日経ネットPLUS」および「NIKKEINET」の閲覧者を対象に、インターネット上でのアンケート方式で12月9―15日に実施、3864人から回答を得た。回答者のうち男性は93%、女性は7%。紙面やネットに公表した2次報告の内容を読んだと答えた人は全体の48.2%だった。


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