20081222 日本経済新聞 夕刊

 十二月の月例経済報告は輸出減に始まった企業部門の不振が、雇用調整にまで及んでいるとの厳しい見方を示した。派遣社員を中心に雇用の削減を進める企業は来年の春闘でも賃上げには慎重な姿勢を強める。財務省が二十二日に発表した十一月の貿易統計速報で輸出総額は一九八〇年以降で最大の落ち込みで、企業のさらなる不振が個人消費の下押しにつながる懸念もある。(1面参照)
 十二月の月例報告は雇用情勢の先行きに強い警戒感を示した。判断材料に使う十月の統計では完全失業率が改善したものの、有効求人倍率が低下したことを重視。景気の動きと合わせて動く求人数の減少が、雇用環境の急激な悪化を示しているとみている。
 企業が雇用の削減に踏み切り始めたのは、輸出減など経営環境の悪化が急速に進んだためだ。輸出総額は約七年ぶりの大幅減となった十月から一段と減少幅が拡大。中国向けは二四・五%も減り、企業が成長の機会を求めてきた新興国経済の減速が鮮明になった。
 特に主力産業の一つである自動車メーカーは国内でエンジンなどの主要部品を生産し、アジアで完成車に組み立てる分業体制を構築している。アジア向け輸出が目詰まりすれば、国内拠点の減産が一段と深まるとの見方も多い。
 十二月の月例経済報告は輸出を「減少」と判断したが、十一月の大幅な落ち込みは織り込んでいない。大幅な減少が続けば、月例の判断もさらに下方修正する可能性が出てくる。
 輸出減から生産・雇用まで波及した景気後退が個人消費まで及ぶ可能性も高い。個人消費は十二月の月例で「おおむね横ばいだが、足元で弱い動き」としたものの、十一月以降は百貨店売上高や自動車販売台数が一段と低迷した。物価の下落は家計負担を減らすが、景気を支えるには力不足との見方が多くなっている。


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