20081216 日本経済新聞 朝刊

 住宅市場が冷え込んでいる。十月の新設住宅着工戸数をみると、建築基準法改正で混乱した二〇〇七年を除く過去五年間の十月の平均値に比べて一六%減少した。九月は同七・三%減だったから落ち込みが激しい。マンション業者を中心に倒産もうなぎ登りだ。
 政府は景気対策として過去最大規模の住宅減税を実施する。住宅ローンを借りる場合だけでなく、自己資金で新築・購入する時にも減税する。ただし、投資減税は長期優良住宅、いわゆる二百年住宅などに対象を絞る方針だ。
 住宅投資は耐久消費財などの需要拡大にもつながる。投資減税が可能になれば、住宅の買い替え需要も喚起するだろう。
 日本の住宅の総戸数はすでに総世帯数を一割以上も上回っている。一方で平均的な寿命は三十年程度と欧米に比べて短い。築年数を重ねると資産価値が大幅に低下するので取り壊されやすい。長い年月をかけてローンを完済した時には、家屋部分の価値はほぼゼロという場合も少なくない。
 住宅流通に占める中古物件の割合が一割強にとどまることも住宅の「使い捨て」を招いている。
 二百年住宅とは通常の住宅と比べて耐久性や耐震性に優れ、間取りの変更や維持管理がしやすい物件だ。国土交通省が設けた性能基準を満たす住宅を自治体が認定し、国が税制面で優遇する。
 持ち主は設計図やリフォーム歴などを住宅履歴書としてまとめ、保存する。履歴書があれば適正な資産評価をしやすくなる。こうした内容を盛り込んだ法律もこの臨時国会で成立した。
 国交省が募集したモデル住宅には主要部材に木材を使う物件も少なくない。国産材の利用拡大につながれば林業も再生できる。
 二百年住宅を普及するには課題もある。寿命が長いといっても定期的な外壁の補修や設備の交換などが必要だ。しかし、今もリフォーム工事に伴うトラブルが絶えない。工事代もばらつきがある。
 減税をきっかけに健全なリフォーム業者の育成と情報公開を進め、日本の住宅を量から質へと転換したい。(編集委員 谷隆徳)


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