20081204 日本経済新聞 夕刊

 【ニューヨーク=杉本晶子】全米自動車労組(UAW)は三日、米政府に金融支援を要請中のビッグスリー(米自動車大手三社)との間で、昨年結んだ労働協約を一部見直すことを決めた。レイオフ(一時解雇)期間中の従業員が賃金の大半を受け取れる契約を一時凍結。二〇一〇年一月までに実施する予定だった医療保険基金へのビッグスリーからの資金拠出も先延ばしする。三社が米議会に提出した再建計画が議員らから同意を取り付けやすくなるよう、労組側が譲歩した。
 UAWのロン・ゲトルフィンガー委員長が同日、デトロイトで開いた支部幹部との緊急会合の後、記者団との会見で明らかにした。
 具体的には労使間で取り決めている「ジョブズ・バンク」と呼ぶ仕組みをしばらく凍結する。工場休止などでレイオフ中の従業員に対し、賃金や手当の大半を払い続けるもので、現在は三社合計で約三千五百人が対象になっているとされる。
 三社の医療保険債務を引き継ぐ医療保険基金についても見直す。各社は同基金に対し一〇年一月までに資金を拠出する予定だったが、当面の資金繰り確保に組合側が協力する。APによると、ゼネラル・モーターズ(GM)が〇九年初頭に七十五億ドル、フォード・モーターが〇八年末までに六十三億ドルを拠出する予定だった。
 ゲトルフィンガー委員長は、ビッグスリー側が求めれば、給与や福利厚生についての協約を見直す考えがあることも示した。修正には、組合員による採決などが必要になるという。ジョブズ・バンクについては、米議会の十一月の公聴会で、支援に否定的な議員の間でコストを膨らませる悪習だとの声が上がった。

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