20081109 日本経済新聞 朝刊

 自民党税制調査会の柳沢伯夫小委員長はインタビューで、中期プログラムとは別に、二〇〇九年度の税制改正で検討する項目にも言及した。住宅ローン減税では所得税だけでなく住民税からも税金を差し引ける制度を導入する考えを表明。納めている所得税より多く税金を控除できるため、所得がそれほど多くない人でも過去最大の住宅ローン減税の恩恵を受けやすくなる。(1面参照)
  「住宅ローン減税は、地方税の土俵も借りて政策を遂行することが適切だ」
 国土交通省によると夫婦と子供二人の世帯の場合、年収七百五十万円の人で一年に納める所得税は二十三万円程度。住宅ローンの税額控除の上限が過去最高(例えば期間十年で六百万円)になっても、所得税から控除しきれないケースが出てくる。住民税を含めれば、より多くの税金を差し引くことができ、減税効果が高まる。
 もっとも住民税は市町村の重要な財源。総務省は「減税になれば地方財政が悪化する」と懸念している。柳沢氏は「財源は国が裏打ちするのが大前提だ」とも述べ、住民税が減った分は国が補てんする意向を示した。
  「相続税は基本的に“税収中立”にする」
 相続税について、〇九年度の税制改正では最高税率の引き上げなどの増税措置はとらない考えを明言した。年末の税制論議では、亡くなった人の遺産総額をもとに課税額を決める現行方式から、遺産を受け取った人の受取額をもとに決める方式への変更を検討する見通し。仮に方式が変われば一部に税負担が増減する人も出てくるが、相続税収全体の規模はほぼ変わらない仕組みになりそうだ。
  「自動車重量税の引き下げなどの議論が俎上(そじょう)にのってくるだろう」
 福田康夫前首相がお金の使い道を限定しない“一般財源”にする方針を示した道路特定財源。例えば自動車重量税の場合、自家用車なら〇・五トン当たり年六千三百円がかかっており、与党内から引き下げを求める声が出ている。
 柳沢氏は「一般財源の税として議論し直すプロセスが必要だ」と指摘。自動車重量税など道路財源関連税の税体系や税率の引き下げなども検討課題になるとの考えを表明した。
  「財政収支全体が厳しくなれば、たばこ税の(引き上げ)議論もされると思う」
 紙巻きたばこには現在、一本当たり約八・七円のたばこ関連税がかかる。景気低迷や衆院選をにらんで消費税率の引き上げが当面は難しく、与野党からたばこ税の引き上げを求める声があがっている。柳沢氏は「いま結論を言うのは早い」としながらも、今後の税制論議のテーマの一つになりうるとの見方を示した。

------------------------------------------------