20081101 日本経済新聞 朝刊

 政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大教授)は三十一日の経済財政諮問会議で、いまの社会保障制度を拡充したときに将来必要となる財政負担を公表した。保険料方式の年金制度を維持する場合、二〇一五年度時点では消費税に換算して最低三・三%分の追加財源が必要だと指摘。基礎年金をすべて税金で賄う方式に変更すれば、最高一一%分の追加財源を手当てしなければならないと試算した。
 追加財源をすべて消費税で賄うと、現在五%の税率を八%超―一六%に引き上げる計算になる。麻生太郎首相は三年後の消費税率引き上げを表明しており、諮問会議もこれをたたき台に具体的な検討に入る。
 追加財源の試算は国と地方の合計。国民会議が十月までに示した「医療・介護」「年金」「少子化対策」の三分野の費用推計をいくつかの場合に分けて計算した。基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げるための財源も含んでいる。
 現行の年金制度に最低保障年金の導入といった改善を加え、医療・介護の対策も強化した場合、一五年度には消費税率で三%台半ば分(約十兆円)の追加財源が必要になる。基礎年金部分を税方式にした場合は追加財源がさらに増え、六―一一%分(二十兆―三十七兆円程度)に膨らむ。
 二五年度時点では保険料方式の年金制度で六%分(約二十三兆円)、税方式の年金制度で九―一三%分(三十四兆―五十一兆円)の追加財源を確保しなければならないと試算した。
 与謝野馨経済財政担当相は諮問会議後の記者会見で「消費税率を上げた場合、還元するイメージがないと国民にお願いできない」と述べ、増収分をすべて社会保障に充てる意向を表明した。
 首相は三十一日、年金制度の税方式への変更を念頭に、消費税率を一〇%程度まで引き上げることが目安になるとの認識を示した。国民会議の試算とともに、年末にまとめる税制抜本改革の中期計画の策定論議に大きな影響を与えそうだ。
 増税の一つの条件として掲げている「景気回復」の判断基準については「国内総生産(GDP)の伸びだ」と明言。自民党総裁選の演説では、二―三%の名目成長率が続くことが必要との考えを示した経緯もある。
 ただエコノミストの間には「本格的な景気回復は一〇年度以降」との見方もある。河村建夫官房長官も同日の記者会見で法案提出の可否を判断するのは三年後との認識を示しており、実際に消費税率を引き上げられるかどうかは不透明だ。


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