20081031 日本経済新聞 地方経済面

 政府・与党が三十日発表した追加経済対策に対し、道内経済界では住宅ローン減税の延長・拡充を中心に一定の効果を期待する声が上がった。ただ二兆円規模の給付金については効果を疑問視する見方も多く、中小企業の資金繰り支援の徹底など持続的な政策対応を求める声も目立った。麻生太郎首相が衆院解散の先送りを表明したことには理解を示す声が大勢を占めた。(1面参照)
 民需が弱く景気が全国でも厳しい状況にある道内経済界。「道内経済が以前にも増して厳しい状態にあるなかで、今回の対策が少しでも景気の浮揚につながってほしい」(JR北海道の小池明夫会長)などと総じて対策への期待は強い。
 具体的な項目では、急速な需要冷え込みに直面する住宅・不動産業界を中心に、住宅ローン減税に期待をかける声が目立った。
 ミサワホーム北海道の渡辺道広社長は「購入意欲の喚起につながり評価できる」と指摘。ただし「税額控除でなく、所得控除や利子補給にするなど低所得者に直接メリットが出るようにすべきだ。住宅に対する贈与税の緩和や減免も求めたい」と注文をつける。
 豊平製鋼は道内での建築関連の需要低迷に輸出減が加わり、十月から稼働日数が半分程度に落ち込んでいる。三田広志常務は「住宅購入では様子見の状況が続いてきた。消費者の気持ちが明るくなり、価格も下がる中で買い時と思ってもらえれば」と期待を込める。
 一方、定額減税に代えて全世帯に二兆円規模の給付金を配る対策については効果を疑問視する声が上がった。釣り具メーカー、フジワラ(北斗市)の藤原鉄弥社長は「レジャーに回ってくれればよいが、貯蓄に向く可能性が大きい。むしろ、中小企業向けの融資の拡大などに振り向けてもらいたかった」と指摘した。
 北弘電社の中野章社長は「財政に余裕がないなか、国は重点分野に集中配分すべきだ。具体的には食料やエネルギー問題を克服するための投資が欠かせない」と訴えた。
 金融面や地方支援で一段の対策を求める声も強い。ソフト開発のアジェンダ(札幌市)の松井文也社長は「企業のIT投資は銀行からの借り入れがほとんど。金融機関が貸しはがしするような状況になると投資がなくなる。資金の流動性を確保してもらうのが一番重要だ」と強調する。
 北海道IT推進協会の安田経会長(ソフト開発のHBA=札幌市=会長)は「小泉政権下の改革で一番影響を受けたのは地方自治体と低所得者層。自治体がしっかりしないと地域は衰退する」と唱える。対策では地方向けのメニューも並んだが「自治体が独自の政策を打てるよう財政を立て直してほしい」と求めた。
 解散先送りへの評価は、聞き取りした経営者らのほぼ全員が「政治空白をつくらず、早期の補正予算の成立、政策の実行を」「いまはグローバルな経済危機。選挙をやっている場合ではない」などと回答した。ただ今後の国会では民主党などが抗戦姿勢を強め、審議は難航する可能性も高い。「日本の政治体制を確立するため、選挙はいつかはやらなければならない」(北弘電社の中野社長)との指摘もある。




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