20081031 日経産業新聞

 企業が社会の一員として必ず行わなければならないのが納税です。会社にかかわる税金にはどのようなものがあるのか、納税額を算定する際の考え方はどのようなものなのかを解説します。まず、法人税について税理士の高橋寿克氏の話をもとに、二回に分けてまとめていきます。
 法人税は企業にとって最も代表的な税金です。個人の所得に課す所得税と同様に、法人税も企業の所得が課税対象になります。企業の所得は、売り上げから経費を差し引いた利益とほぼ同じになります。ただ、経費に対する考え方では、企業会計と税法とでは微妙な違いがあります。
 税法では、企業会計における売り上げに相当する概念を「益金」と呼びます。同様に経費は「損金」となります。益金から損金を差し引いたのが「課税所得」になります。税金を納める立場で考えると、損金の対象が広がれば、納めなければならない税金は少なく済みます。
 それでは損金の対象範囲を見てみましょう。製品の製造経費や商品の仕入れ代金、従業員への賃金、オフィスの賃料や広告宣伝費、生産設備の減価償却費など、企業会計における経費のかなりの部分は税法でも損金として認められます。
 ここでよく問題になるのが、取引先との飲酒を伴う会食に関する費用である「交際費」です。原則として税法は損金として認めていません。資本金一億円以下の中小企業であれば、年間の交際費の九〇%まで損金として計上できます。それでも、四百万円を超えた部分は損金になりません。
 交際費を損金として認めないのはなぜでしょう。税法には課税の公平性という考え方があります。予想を上回る大きな利益をあげたとき、取引先を交えて飲み食いして楽しんだ方がよいと思うA社と、ムダな経費をできるだけ抑えて利益を蓄えようとするB社があったとします。この場合、交際費を損金として認めると、A社の納税額が少なくなってしまいます。これでは課税の公平性は保てないと、税法では考えるのです。
 もちろん、人間関係を円滑にするうえで飲酒を伴う会食は必要との意見にもうなずける部分はあります。二〇〇六年度の税制改正で一回一人あたり五千円以下の会食であれば「会議費」として損金にしてよいことになりました。
 ここで注意しなければならないのは、損金に計上できるのは会食にかかわる経費であることです。企業会計における交際費にはゴルフでの接待や贈答品に関する費用も含まれます。中小企業を除けば、税法はこれらを損金として認めていません。
 会食であれば、相手は誰でも良いわけではありません。自社の従業員や役員など、身内だけで会食する場合は「福利厚生費」になります。この場合は全額が損金となりますが、会社が経費として認めて費用を負担してくれるかどうかという問題が起きるでしょう。
 いずれにしても、税務署に交際費を損金として認めてもらうには、会食の日付や相手先の会社名と担当者の氏名、参加人数、金額などを明記した書類を用意しておく必要があります。
 次回は寄付金や有価証券の評価損について取り上げます。(西根千博)



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