20081031 日本経済新聞 朝刊

 介護保険制度導入後にサービス供給量が急増、二〇〇四年ごろから質の確保が課題となった。進む高齢化に加え、増える認知症高齢者への対応など、求められる質は今後も高度化・専門化が見込まれる。一方で人材不足が深刻化。サービスの量の確保と質の維持・向上の両立、そのための担い手と財源の手当てという課題を抱え、介護保険は転換期を迎えている。
 制度の持続可能性を高めるには、あるべき姿について議論を深め継続的に介護サービスモデルを検証評価することが必須となる。介護が必要になった際、どんな生活を送りたい(または、支えたい)のか。必要とする(または、したい)手助けはどんなものか。私たち一人ひとりが問い直すことが出発点となる。地域での豊かな暮らしを可能にする「自助」「互助(身近な人間関係の中での支え合い)」「共助(地域のネットワークによる支え合い)」、そして「公助」の組み合わせを模索しながら、あるべき姿にもとづいて、介護保険給付の範囲と重点項目を十分検討することが重要になる。
 担い手の観点からサービス提供体制の充実を考えると、まず介護職の処遇を改善し、介護の仕事の魅力を高めることがポイントとなる。これに加え、働き方にかかわる様々な社会制度の議論も必要だ。例えば、主婦のパートタイマーは配偶者控除や年金制度などとの関係から、収入が一定額を超えないよう労働時間を抑えがちだ。こうした就業調整の必要がなくなるような税制や年金制度の見直し、育児等と仕事の両立支援制度の充実は、現職の介護職のさらなる活躍を促すと考えられる。
 さらに支え合いのすそ野を広げる視点も不可欠だ。地域における助け合いを効果的にはぐくみ、連携を図れば、今より多様な主体が介護に参加できるだろう。介護の担い手を広くとらえ、家族介護者への総合的支援の充実や介護と仕事の両立支援、介護保険導入時に検討された家族介護者への現金給付の選択肢なども含め、一体的に議論していくことが期待される。




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