20081027 日本経済新聞 大阪夕刊

 「一体誰に文句を言ったらいいのか」――。日経平均株価がバブル経済崩壊後の最安値を更新した二十七日、個人投資家らは先行きの見えない景気に対する不安を募らせた。一万円割れからわずか約三週間での最安値。押し寄せる円高の波が追い打ちを掛ける。「このままではやり繰りできない。政府は一刻も早い経済対策を」。家計の圧迫にあえぐ主婦らは悲痛な声で訴えた。
(1面参照)
 「あー」。大阪証券取引所の株価ボードを見つめていた法律事務所勤務の小西浩二さん(69)は午前の取引開始直後に日経平均株価がバブル経済崩壊後の最安値を更新すると、小さくため息をついた。
 三年半前、株や投資信託に一千万円ほどを投資したが、今では六百万円ほどに下落した。「自分の生きている間にこんな破天荒な場面に遭遇するとは。きっと取り返せないだろう」とあきらめ顔だった。
 「一万円を切ったときも驚いたが、ここまで下がるとは」と話すのは株取引歴二十年という大阪府吹田市の無職男性(85)。「これから恐慌が訪れるかもしれない。まさに一寸先は闇だ」とショックを隠せない。株で運用していた約五千万円の資産は半分近くになり、「売るに売れない」。
●商店街
 大阪市北区の天神橋筋商店街の薬局で買い物中の主婦(51)は「安売りの商品を買うしかない」と値札を見つめた。メーカー勤務の夫から「冬のボーナスは厳しそう」と聞かされたばかり。東京の私大に通う長男への仕送りもあり、「このままではやり繰りできない。誰に文句を言えばいいのか」とこぼす。
 同区内の主婦(63)は約一千万円を投資信託で運用している。元本割れは確実で、「早くやめておけばよかった」とため息。この日も銀行を訪れたが「どれだけ目減りしているか怖くて担当者の話を聞けない」と話した。
●オフィス街
 サラリーマンらが行き交う大阪・淀屋橋。大阪市内の会議室のレンタル会社に勤める男性(28)は、予約数の減少に不安を感じている。企業からの貸室の問い合わせが毎月二十件ほどあったが、十月に入るとぴたりとやんだ。「このまま景気が悪化すれば、利用がどんどん細るのではないか」と漏らす。
 岡山市から出張中の医療器具ベンチャー勤務の男性(64)は「資金をあと二億円集めたいが、どこの投資会社もなかなか出資してくれない。我々のようなベンチャーが一番影響を受けている」と苦り切った表情。「国にもっとしっかり対策を取ってほしい」と訴えた。



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