20081024 日本経済新聞 朝刊

 政府は五月の年金財政の将来推計に続き、今回、医療、介護費用の推計を社会保障国民会議に示すことで、「国民の安心」の確保にはコストがかかり、負担増の議論は避けられないという道筋を描いてみせた。少子高齢化が急速に進む日本では、先行きの「負担増」を前提にしなければ土台の揺らぐ社会保障の将来像を描けない。
 だが、消費税や社会保険料などの負担増を語るには、国民の信頼を失った厚生労働行政と制度の無駄をあぶり出し効率化を徹底することも前提になる。年金記録の不備や改ざん、過去のハコモノ行政への保険料の転用、独立行政法人を通じた税の無駄遣い……。厚労行政のずさんさは制度改革論の足かせになっている側面も否めない。
 今回の政府推計も厚労官僚が中心となって作成したのが実態。まずは厚労省が自ら無駄遣いを徹底してなくし、制度への信頼を取り戻す努力を積み重ねないかぎり、負担論が必要という「正論」も空回りし、結局は社会保障が立ちゆかなくなるという悪循環を生む。



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