20081022 日本経済新聞 朝刊

 政府は十月の月例経済報告で、景気の基調判断を「弱まっている」と二カ月ぶりに下方修正した。米国や欧州で拡大した金融危機は世界全体の実体経済を冷え込ませており、日本もその例外ではない。景気の一段の悪化が続く事態を警戒すべきであり、当面の政策対応でも持続的な実効性が重要になろう。
 月例報告は輸出、生産、個人消費、雇用、業況判断、倒産と、主要十一項目のうち六項目の判断を前月より後退させた。日銀が公表した十月の地域経済報告も九地域すべてで三カ月前より判断を下方修正した。競争力の高い自動車産業を抱えて堅調とされた東海なども悪化した。
 日本の景気は昨年末ごろから後退局面に入った公算が大きい。ここ一カ月余りの世界金融市場の混乱で日本経済の条件は厳しくなり、悪化傾向が多方面に広がっている。
 悪条件の第一は頼みの綱である外需の鈍化だ。金融機関の破綻や救済が相次ぐ米欧で企業や個人向け貸し出しが細り、実体経済の血液であるマネーの巡りが悪くなった。米自動車販売も急減し、一ケタ成長に鈍化した中国など新興国も振るわない。
 株式や為替の急激な相場変動もある。危機が深刻となって日米の株価は一時一年前の水準より四―五割下落し、その後も回復の勢いは鈍い。個人消費にも悪影響を及ぼした。円相場はユーロなど主要通貨に対して急上昇し、円安の追い風に恵まれていた輸出産業の環境は一変した。
 第三は内需の低迷である。工作機械の国内向け受注は九月に前年を約三割下回るなど設備投資意欲の冷え込みが著しい。投資マネーの退潮に伴うエネルギーや原材料の価格低下は逆風を緩和する材料になるが、企業の倒産も増加し、雇用環境が悪化し始めたことは懸念される。個人消費も慎重となり、日本経済はけん引役が不在になりつつある。
 政府は来週にも追加経済対策をまとめるが、金融危機が長期化して景気悪化が止まらない事態への備えが必要だ。効果が長続きしないようなバラマキ型政策を膨らませるのは感心しない。新たな投資を引き出すような税制見直しや規制緩和など、経済活性化に持続的な効果のある質の高い政策に知恵を絞るべきだ。



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