20081022 日本経済新聞 夕刊

 福島県立医大(福島市)の付属病院で大動脈瘤(りゅう)の治療を受けた患者三十人が、公的医療保険でカバーされない部分の、人工血管の費用計約一千万円を、研究費名目で寄付していたことが二十二日、分かった。公的医療保険が適用される保険診療と、患者全額負担の自由診療を併用する「混合診療」は原則禁止されており、研究費名目の寄付は全額負担を回避する目的があったとみられる。
 東北厚生局が事実関係の調査に乗り出す。
 医大によると、二〇〇一年十二月から〇八年三月にかけて、大動脈瘤の破裂を防ぐ治療を受けた患者三十人から、保険適用外となっている人工血管(ステントグラフト)の費用を研究費から支払ったことにするため、計約一千万円寄付を受けていた。
 医大は「強制ではなく患者からの寄付金として受け取っている」としている。
 三十人の治療は混合診療に当たる可能性があり、その場合、人工血管を使うなど自由診療を一部でも受けると保険適用分を含め全額患者負担となる。ただ、適用外分を大学の研究費などから持ち出した場合は、その研究費が寄付金から出されたとしても公的保険が適用されたままになる。
 県立医大の関根宏幸企画財務課長の話 大学の研究費から保険適用外の医療費を出していると研究費が底をついてしまう。寄付をもらうことで患者は(全額の)支払い義務を負わずに済む。
 ▼混合診療 健康保険などの公的医療保険を使える診療と、保険対象外の自由診療を併用すること。この場合、公的保険でカバーできる範囲も全額自己負担となる。政府の規制改革会議は混合診療の原則禁止の撤廃を求めているが、厚生労働省は、患者の所得で受けられる医療が変わることや、安全性が確立されていない医療が広がることなどを理由に、原則認めていない。



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