20081019 日本経済新聞 朝刊
世界的な株価下落で投資尺度からみて割安な銘柄が増えている。投資信託を通じた投資を検討する人もいるだろう。そのとき気を付けたいのは、金融機関でどの口座を利用するかということだ。二〇〇九年以降、口座によっては投信換金時に利益が出ると、翌年に確定申告が必要になるケースもあるので要注意だ。
金融機関で購入した投信を預け入れる口座には「源泉徴収ありの特定口座」「源泉徴収なしの特定口座」「一般口座」の三種類がある。特定口座とは、金融機関が購入価格の管理や損益の計算をしてくれる口座のことで、金融機関が納税も代行する「源泉徴収あり」と投資家が自ら申告・納税する「源泉徴収なし」がある。一般口座では投資家が自分で損益を管理・計算したうえで、申告・納税する。
源泉徴収ありの特定口座を使っていれば、投信換金時に利益が出ても原則として確定申告は必要ない。
買い取りか解約か
〇八年までは、確定申告をしないで済む方法がもう一つある。換金時に解約請求を選ぶ方法だ(表A)。投信換金の手続きには、販売会社に投信を買い取ってもらう「買い取り請求」と、販売会社を通じて投信会社に解約を求める「解約請求」がある。〇八年までは利益が出た場合、買い取り(売却)ならば譲渡所得、解約(償還を含む)ならば配当所得として扱う。
配当所得ならば口座の種類にかかわらず、利益の一〇%を源泉徴収されるだけで済み、確定申告をしない選択も可能だ。しかし、〇九年からはこうした選択はできなくなる。税制改正により、解約でも利益は譲渡所得として扱うようになるためだ。
〇九年以降は源泉徴収なしの特定口座、一般口座にある投信の換金で利益が出れば、原則として確定申告が必要になる(図B)。サラリーマンの場合、給与所得・退職所得以外の所得合計が年二十万円以下ならば確定申告は不要。
わざわざ確定申告をするのは避けたいと考えるならば「できれば年内に投信を源泉徴収ありの特定口座に預け入れておいた方がいい」(税理士の福田浩彦さん)。遅くとも〇九年に初めて投信を換金する前に手続きをしておかないと、確定申告不要を選べなくなるので注意したい。
もう一つの注意点は、一般口座の投信を特定口座に預け入れられるのは〇九年五月末までとの期限があることだ。当面換金する予定がないとしても、なるべく早く源泉徴収ありの特定口座に預け入れた方がよいだろう。
源泉徴収ありの特定口座を使わないで確定申告をする問題は、面倒が多くなることだけではない。確定申告をすることにより、思わぬところで負担が増える可能性がある。国民健康保険に加入している場合は保険料支払額が増えたり、七十歳以上では医療費の窓口負担が増えたりしかねない。また、妻が確定申告することで夫の配偶者控除などの対象から外れ、夫の税負担が増える可能性もある。
一方、税務署は原則として金融機関からの支払調書を通じて、利益を把握している。源泉徴収ありの特定口座を使わず、確定申告もしなければ、将来、税務署から申告漏れの指摘を受けかねない。
未導入の銀行も
しかし、〇九年からの税制改正は十分に周知されているとはいえない。日経生活モニターに登録する読者に〇八年九月に聞いたところ、株式投信を保有する七百四十二人のうち「知らない」と答えた人が四六%に上った。
また、主な銀行の中にも、現時点で特定口座を導入していないところがある(表C)。今や投信全体の約半分は銀行を通じて販売されているが、銀行では証券会社ほど特定口座の導入が進んでいないといわれる。実際、既に特定口座を導入している銀行でも、一般口座の利用率が三〇―五〇%程度のところが多い。
各行は一般口座を利用する顧客に、源泉徴収ありの特定口座に預け入れてもらうよう連絡を取り始めた。三菱東京UFJ銀行は〇八年十一月と〇九年一―四月、投信保有者に税制改正や特定口座の案内を送付する予定。りそな銀行も〇八年七月と十月に二十二万人の顧客に説明資料を送り、年明け以降は特定口座申込書を送付する予定だ。中央三井信託銀行は年明け以降の投信換金の注文受付時に、税制改正や特定口座への預け入れについて説明する方針だ。
〇九年一月からは直販投信会社も特定口座を導入できることになった。さわかみ投信は〇九年一月に特定口座を導入する予定で、〇八年内に特定口座申込書を発送する。
ただ、株価の急落で〇九年以降の証券税制は見直される可能性があり、注意が必要だ。(編集委員 山口雅司)
二〇〇九年の改正で税制がより複雑になるとの指摘が多いが、投資家にとって改善する部分もある。株式や投信の売買で損失が出た場合に、株式の配当や投信の分配金などの利益と損益通算できる範囲が広がることだ(表D)。上手に利用すれば利益を圧縮できるので、納税額を減らせる。
〇八年までは投信の解約・償還による利益は配当所得なので、他の投信や株式の売却損との損益通算はできない。しかし〇九年以降は譲渡所得になるので、投信買い取り(売却)による利益と同様に、他の投信や株式の売却損と損益通算ができるようになる。
さらに〇九年以降は株式の配当や投信の分配金と、株式や投信の売却損を損益通算できるようになる。株式や投信の損切りを検討していて、〇九年以降に株式の配当や投信の分配金の受け取りを予定している人ならば、損切りを〇九年以降に先送りした方が得になるケースもあり得る。
ただ、〇九年の損益通算については「配当・分配金を申告分離課税として確定申告をすることが必要」(税理士の福田さん)なので要注意だ。一〇年以降は源泉徴収ありの特定口座内での損益通算ができるようになり、確定申告をしない選択も可能になる。
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