20081019 日本経済新聞 朝刊

 損害保険各社は来秋をめどに、火災保険の保険料を大幅に見直す。住宅の構造に合わせて五つに分けている保険料の基準を非耐火、耐火、マンションの三つに集約する。保険料の取りすぎ問題の再発を防ぐのが狙い。木造住宅の一部などの保険料は二―三割上がり、鉄骨造りは値下がりする公算が大きく、契約者には不満も残りそうだ。(保険料の取りすぎ問題は3面「きょうのことば」参照)=解説3面に
 火災保険の保険料区分を大きく変えるのは約四十年ぶり。外壁に新しい素材を使った住宅などが登場すると、どの区分に該当するかがあいまいになる。このため損保各社が本来より高い保険料を受け取る事例が多発。業界全体で見つかった約三百七十億円の取りすぎの八割が火災保険で起きた。今回の見直しで区分を単純化し、契約者にもわかりやすくする。
 保険料が最も上がりそうなのは、外壁に軽量気泡コンクリート(ALC)を活用した木造住宅や土蔵造りの住宅。ALCはパネルで組み立てる住宅などに使われる。通常の木造住宅より耐火性に優れているという理由で保険料が安い区分に入れていたが、最も高い「非耐火」に集約する。
 これらの保険料は地域によって違うものの、全国平均で八割増える見通し。損保各社は急激な負担増を避けるため、当面は二―三割に抑える方向だ。大手損保の標準的な火災保険(東京・世田谷、期間二年間、保険金額一千万円)では、年一万七千円程度の保険料が二万―二万二千円程度になる公算が大きい。
 燃えにくい住宅の区分も「耐火」に一本化する。耐火性が最も高い鉄筋コンクリート造りの戸建て住宅は耐火性がやや劣る住宅と同じ区分に入れるため、一―二割値上がりする可能性がある。外壁がコンクリートの木骨住宅や鉄骨造りの住宅は鉄筋と同じ扱いとなり、逆に二―三割の値下げが見込まれる。普通の木造住宅は据え置きかわずかな値上げとなり、マンションはほぼ横ばいの見通しだ。損保各社が受け取る保険料の総額はほとんど変わらないという。
 損保各社は火災保険や自動車保険の保険料をはじくときに、損害保険料率算出機構が提供する保険料を参考にする。同機構が保険料体系を抜本改革するのに合わせて、今回の見直しを実施する。新しい体系に経費などを上乗せして最終的な保険料を決める。損保業界は競争が激しく、コストを削って値上げ幅を圧縮する可能性もある。
 (1)同じ都道府県内でも地域によって保険料が異なる状態を解消する(2)木造アパートの保険料割増や火災警報器を設置した住宅の保険料割引の廃止――なども併せて実施する。


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