20080930 日本経済新聞 朝刊

 介護保険法に基づく施設サービスを提供する介護保険施設には、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム=特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(療養型)の三種類がある。特養は長期入所を前提としているが、医療体制は弱い。老健と療養型は医療体制が充実しているが、老健は在宅復帰を前提にリハビリなどを行う。療養型は医療体制が長期的に必要な利用者向けの医療機関だ。
 いずれの施設も多くの入所待機者を抱える。中でも特養は長期入所を前提とし自己負担も少ないため、特に待機者が多い。しかし、施設を安易に増やすのは介護保険制度の理念に反し、歳出や保険料の増加につながる。そこで、厚生労働省は地域で必要なサービス量を算出する基準(参酌標準)を定め、施設の増加に歯止めをかけている。ただ、これが結果として消費者の選択を困難にし、既存事業者の権益を守っている面もある。
 施設の運営は制度上、社会福祉法人、医療法人などに限定されている。特養は開設主体の九割超が社会福祉法人である。
 社会福祉法人は社会福祉事業を行うことを目的に戦後設立され、法人税非課税など様々な補助制度により守られてきた。社会福祉法人の設立は基本財産を所有することを除けば特別な制限がなく、営利法人などが財産を寄付する形で事実上支配している場合もある。過去、特養の平均的利益率が一〇%前後と高かったこともあり、公平性の観点から批判が高まってきた。
 しかし、制度に守られる一方、強い規制に縛られており、今後、優遇制度を縮小する代わりに、経営の自由度を増す方向での見直しが考えられている。
 介護保険施設は制度施行以降、徐々にその性格を変えてきた。特養は重度者を重点入所させる制度変更を行った結果、医療ニーズにも対応せざるをえなくなっている。しかし、介護職では対応できない作業も多い。今後、こうしたニーズへの対応を含め介護保険施設の機能やその給付について再検討されるとみられる。

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