20081001 日本経済新聞 朝刊

介護療養型廃止方針で反発も
 介護療養型医療施設は、制度上は「療養病床」というベッドを有する医療機関である。療養病床には介護保険適用と医療保険適用の二種類があり、全国約三十六万床のうち十一万床が介護療養型である。両者は医療療養病床の人員配置がやや厚いほかは、ほとんど差はない。
 療養病床は医療ニーズが高く、在宅介護が難しい利用者向けとされてきたが、実際には入院患者の約半数が医師に週一回程度、直接医療を受けているにすぎない。このため、厚生労働省は医療ニーズの高い利用者のために二十二万床のみを医療保険適用として残し、介護療養型は二〇一一年度末に廃止する方針を打ち出した。「介護難民」が生まれるという声があるが、厚労省は療養型を基本的に老人保健施設(老健)などに移行する方針だ。
 行政側からみると、療養型の単価は他施設より三割以上高く、医療が不要ならこれを削減できる。また、療養病床の医師や看護師が地域医療に従事すれば医療資源を効率活用できる可能性がある。しかし、医療機関側にとっては一定の医療対応があるなか医師や看護師を減らし費用を圧縮しなくてはならない。また、仮に利益率を維持できても借入金返済のキャッシュフローは不足する。改築などが必要ならコスト負担も生じる。急な方針転換や「病院」の看板を下ろすことへの反発も強い。
 この状況を受け、厚労省は施設基準緩和やつなぎ融資などを打ち出すとともに、老健の一つとして「介護療養型老人保健施設」を創設。一定の医療ニーズに対応可能な仕組みとした。各療養型医療施設は移行期間ぎりぎりまで現在の収益を維持しつつ、転換先を模索している。一方で移行先の老健側からすると、本来の在宅復帰を目指すものとは異なる施設への反発がある。ただ、老健も入所が長期になり「特養化」する施設が増えている。半数は受け入れ施設などがないための「社会的入所」というデータもある。リハビリの在り方も変化しており、老健自体の在り方も問われている。

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