20081003 日本経済新聞 朝刊

追加料なし
 損害保険ジャパンは既存の火災保険契約の一部について、二〇〇九年四月から支払う保険金を実質的に増やす。従来は住宅の「時価」までしか保険金を支払わなかったが、住宅の「再建費用」を上限に契約時の保険金を支払うようにする。追加保険料は取らない。一般に時価より再建費用のほうが高いことが多いため、保険金を増やす効果がある。他社も追随する公算が大きい。
 火災保険をめぐっては、保険料の取り過ぎが多発した。保険金の増額で取り過ぎ問題の再発を防ぐねらいだ。
 見直し対象は期間五年超の住宅向け火災保険のうち、住宅の時価まで保険金を支払う「時価契約」四十万件。損保ジャパンがほかの損保と共同で引き受けた契約や、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)のローンに付いた火災保険は対象外だ。
 時価契約の火災保険は住宅の評価額が目減りするのに合わせ、受け取れる保険金も減っていく。長期契約では想定以上に保険金が目減りし、契約者からは「期待した保険金が支払われない」などの苦情がある。契約者が気づかぬうちに無駄な保険料を払うことになるため、取り過ぎ問題の一因にもなった。
 損保ジャパンは十二月から契約者に案内を送り、「時価契約」から住宅再建費を上限に保険金を支払う「再調達価額契約」に切り替えるように勧める。契約者が拒否しなければ、〇九年四月から自動的に切り替える。五年以内の時価契約の加入者も、希望すれば新特約を付けられる。
 一般に、住宅の再建費は時価を上回ることが多いため、今回の改定策には保険金額を実質的に上積みする効果がある。増額で保険料に見合った保険金を受け取れるようになるため、保険料の取り過ぎも防げる。十二月から五年超の時価契約の新規販売を停止する。東京海上日動火災保険も二月から時価契約の新規販売を原則停止しているが、損保ジャパンは既契約にまで踏み込んで長期の時価契約を減らしていく。
家屋の「時価」 年1―2%ずつ目減り
 ▼火災保険の時価契約 火災保険の契約形態の一つ。新築時の価格から築年数の経過による減価や使用による消耗分を差し引いた「時価額」までの保険金を支払う。一般的に時価額は年一―二%ずつ目減りするとされ、契約時の保険金額を全額もらえないことがある。例えば保険金額千五百万円・二十年で時価契約を結んだ場合、十年後に自宅が火事で焼失したとする。家の時価が千二百万円なら、保険金は千五百万円全額は受け取れず千二百万円になる。
 銀行で住宅ローンを借りたときに、長期の火災保険を契約する場合などは注意が必要だ。
 ファイナンシャルプランナーの清水香氏は「契約途中でも時価の減少に合わせて定期的に保険金額を減らしたりする必要がある」とアドバイスする。

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