20081004 日本経済新聞 朝刊
米アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が日本国内の生命保険三社の売却方針を発表したことで、国内の大手生損保や外資系保険会社による大型の争奪戦に発展しそうだ。業界関係者によると、日本生命保険、東京海上ホールディングスが買収に関心を示しており、独アリアンツ、英プルーデンシャルなどの名も挙がっている。保険業界の大再編につながる可能性も出てきた。(1面参照)
生保三社の保険料収入は合計で二兆一千億円と国内大手生保に匹敵する。仮に全株売ると、売却額は計一兆数千億円に達するとの見方もある。
アリコジャパンの二〇〇七年度の保険料収入は一兆四千六百億円で、国内生保五位。医療保険に強みがあり、テレビコマーシャルで知名度も高い。代理店、営業社員、通信販売と多様な販売網を持つ。買収額は一兆円を超す可能性もあり、「国内保険会社が単独で買収するのは難しい」(大手生保幹部)との見方もある。複数の国内保険会社が連合で買収に動く可能性があるほか、資金力で勝る外資系保険会社が関心を示している。
AIGエジソン生命保険とAIGスター生命保険は経営破綻した旧東邦生命と旧千代田生命がそれぞれの母体。保険料収入はエジソンが四千億円、スターが二千六百億円と中堅クラスだが、破綻時に不採算の契約を切ったため保有契約は健全とされる。
両社は来年一月に合併を予定しており、一括で売却される可能性がある。買収額は五千億―六千億円とみられる。営業社員による販売が中心なので、自前の営業網を強化したい外資系保険会社などが買収に名乗りを上げる可能性もある。
今回の再編をきっかけに、国内の生損保も経営基盤を強化するため、これとは別に再編に動く可能性もある。保険業界は一九九〇年代後半からの金融危機時に外資を交えて大再編が進んだが、新たな再編時代を迎える可能性がある。
生保三社の経営は健全なため、売却されても、今の保険契約者は同じ条件のまま引き続き利用できる見通しだ。
アリコジャパン 一九七三年に営業開始した。米AIGグループの国内中核生保で、二〇〇七年度の保険料収入は約一兆四千六百億円と住友生命保険に次ぐ国内五位。代理店、営業社員、通信販売、銀行窓販の四つの販売網を持つ。通信販売、無配当保険など国内初のサービスを導入した。
AIGスター生命保険 前身は一九〇四年創業の千代田生命保険。二〇〇〇年に経営破綻し、〇一年にAIG傘下入りし、現社名になった。〇七年度の総資産は一兆七千八百六十九億円、保険料等収入は二千六百六十三億円。社員数は五千四百八十八人。
AIGエジソン生命保険 一九九九年に破綻した東邦生命保険の経営を引き継いだGEエジソン生命保険を、AIGが二〇〇三年に買収、発足した。〇七年度の総資産は二兆五千九百三十八億円、保険料等収入は四千七十三億円。
------------------------------------------------