20081006 日本経済新聞 夕刊
厚生労働省によると現在、パートタイム労働者(パート社員)として働いている人の数は非正規雇用者の七割弱を占め、千二百万人を超えています。今回は、雇用者の四人に一人にもなるパート社員の年金がどうなっているかについて、勉強しましょう。
二〇〇八年四月に施行された改正パートタイム労働法は、パートタイム労働者を「一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義しています。つまりアルバイト、契約社員、臨時社員、準社員といった呼び方を問わず、一般の社員より所定労働時間が短ければ、パート社員に当たるといえます。
ではパート社員の年金はどうなるのでしょうか。一般に企業で働く一般社員は、厚生年金に加入しています。パート社員が厚生年金に加入するか否かは、所定労働時間が「一般社員のおおむね四分の三以上」であるかどうかで決まります。
「一般社員のおおむね四分の三以上」を判断する基準が、一日当たりの労働時間と労働日数です。表Aのように、労働時間と労働日数がともに「おおむね四分の三以上」である場合に、所定労働時間が「おおむね四分の三以上」とみなされます。この場合は企業の一般社員と同様、第二号被保険者として勤務先で厚生年金に加入します。
労働時間の基準を満たしているのに「夫の扶養家族である方が得だから」あるいは「保険料を支払うと給料の手取り額が減るから」などの理由で、厚生年金に加入しないでおくことはできません。厚生年金の保険料率は十月に納付する分から一五・三五%に引き上げられました。これを事業主と折半して支払います。
ただし「おおむね」という表現から想像がつくように、事業所によって労働時間の解釈や取り扱いが異なるのが実情のようです。
所定労働時間が「一般社員のおおむね四分の三未満」の場合は、年収や家族の状況によって加入する年金の種類が異なります。
年収が百三十万円(六十歳以上もしくは障害者の場合には百八十万円)以上の場合には第一号被保険者となり、自分で国民年金保険料を納める必要があります。年収が百三十万円未満で、夫が企業に勤め厚生年金に加入している場合には、第三号被保険者となり国民年金保険料を自分では負担せずに国民年金に加入できます(表B参照)。
ここでいう年収には、通勤手当や現物給与といった広い意味での給与も含まれます。また株式投資で得た利益や家賃収入なども含まれる場合があるので注意が必要です。
派遣社員の場合、二カ月を超える契約で雇用される場合には、所定労働時間が派遣先企業の「一般社員のおおむね四分の三以上」あれば、派遣会社で厚生年金に加入することになります。二カ月以内の契約であっても、所定の契約期間を超え、引き続き雇用された場合には同様に厚生年金に加入します。
また雇用契約が終了してから次の仕事をするまでの待機期間は原則として国民年金に加入することになりますが、待機期間が一カ月以内で、次も同じ派遣元での雇用が見込まれる場合は、そのまま厚生年金に加入し続けられます。
厚生年金は加入期間が数カ月、数年といったわずかでも、その分が給付額に反映され、老齢基礎年金の給付額に上乗せされます。ただしそのためには「国民年金に二十五年以上加入」という受給要件を満たしていないといけません。
パート社員として厚生年金保険料を負担した時期があるのに、国民年金の受給要件を満たしていないばかりに、老後に年金が受け取れないこともあり得ます。それを防ぐために、パート社員として働いていない時期には忘れずに第一号あるいは第三号被保険者となるための手続きをとりましょう。派遣社員として働く場合も同様です。
最近では、企業が人件費を削減するために、正社員の採用を抑えて、パート社員でカバーする企業がますます増えています。小売業などを中心にパート社員が管理職に登用されるケースもあります。
現在、国民年金の月額保険料は一万四千四百十円です。労働時間が一般社員の四分の三に満たないため厚生年金には加入しておらず、サラリーマンの妻でないパート社員にとって保険料負担は重く、国民年金の未加入が増える一因にもなっています。
そこで厚労省は〇七年四月、パート社員に対する厚生年金の適用を拡大し、被用者年金を一元化する年金改正法案を国会に提出しました。保険料負担が増える企業の反発が根強く継続審議になっていますが、今後の年金改革の動向によっては、パート社員への厚生年金適用の拡大が進むことも考えられます。
(ファイナンシャルプランナー大竹 のり子)
厚生労働省によると現在、パートタイム労働者(パート社員)として働いている人の数は非正規雇用者の七割弱を占め、千二百万人を超えています。今回は、雇用者の四人に一人にもなるパート社員の年金がどうなっているかについて、勉強しましょう。
二〇〇八年四月に施行された改正パートタイム労働法は、パートタイム労働者を「一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義しています。つまりアルバイト、契約社員、臨時社員、準社員といった呼び方を問わず、一般の社員より所定労働時間が短ければ、パート社員に当たるといえます。
ではパート社員の年金はどうなるのでしょうか。一般に企業で働く一般社員は、厚生年金に加入しています。パート社員が厚生年金に加入するか否かは、所定労働時間が「一般社員のおおむね四分の三以上」であるかどうかで決まります。
「一般社員のおおむね四分の三以上」を判断する基準が、一日当たりの労働時間と労働日数です。表Aのように、労働時間と労働日数がともに「おおむね四分の三以上」である場合に、所定労働時間が「おおむね四分の三以上」とみなされます。この場合は企業の一般社員と同様、第二号被保険者として勤務先で厚生年金に加入します。
労働時間の基準を満たしているのに「夫の扶養家族である方が得だから」あるいは「保険料を支払うと給料の手取り額が減るから」などの理由で、厚生年金に加入しないでおくことはできません。厚生年金の保険料率は十月に納付する分から一五・三五%に引き上げられました。これを事業主と折半して支払います。
ただし「おおむね」という表現から想像がつくように、事業所によって労働時間の解釈や取り扱いが異なるのが実情のようです。
所定労働時間が「一般社員のおおむね四分の三未満」の場合は、年収や家族の状況によって加入する年金の種類が異なります。
年収が百三十万円(六十歳以上もしくは障害者の場合には百八十万円)以上の場合には第一号被保険者となり、自分で国民年金保険料を納める必要があります。年収が百三十万円未満で、夫が企業に勤め厚生年金に加入している場合には、第三号被保険者となり国民年金保険料を自分では負担せずに国民年金に加入できます(表B参照)。
ここでいう年収には、通勤手当や現物給与といった広い意味での給与も含まれます。また株式投資で得た利益や家賃収入なども含まれる場合があるので注意が必要です。
派遣社員の場合、二カ月を超える契約で雇用される場合には、所定労働時間が派遣先企業の「一般社員のおおむね四分の三以上」あれば、派遣会社で厚生年金に加入することになります。二カ月以内の契約であっても、所定の契約期間を超え、引き続き雇用された場合には同様に厚生年金に加入します。
また雇用契約が終了してから次の仕事をするまでの待機期間は原則として国民年金に加入することになりますが、待機期間が一カ月以内で、次も同じ派遣元での雇用が見込まれる場合は、そのまま厚生年金に加入し続けられます。
厚生年金は加入期間が数カ月、数年といったわずかでも、その分が給付額に反映され、老齢基礎年金の給付額に上乗せされます。ただしそのためには「国民年金に二十五年以上加入」という受給要件を満たしていないといけません。
パート社員として厚生年金保険料を負担した時期があるのに、国民年金の受給要件を満たしていないばかりに、老後に年金が受け取れないこともあり得ます。それを防ぐために、パート社員として働いていない時期には忘れずに第一号あるいは第三号被保険者となるための手続きをとりましょう。派遣社員として働く場合も同様です。
最近では、企業が人件費を削減するために、正社員の採用を抑えて、パート社員でカバーする企業がますます増えています。小売業などを中心にパート社員が管理職に登用されるケースもあります。
現在、国民年金の月額保険料は一万四千四百十円です。労働時間が一般社員の四分の三に満たないため厚生年金には加入しておらず、サラリーマンの妻でないパート社員にとって保険料負担は重く、国民年金の未加入が増える一因にもなっています。
そこで厚労省は〇七年四月、パート社員に対する厚生年金の適用を拡大し、被用者年金を一元化する年金改正法案を国会に提出しました。保険料負担が増える企業の反発が根強く継続審議になっていますが、今後の年金改革の動向によっては、パート社員への厚生年金適用の拡大が進むことも考えられます。
(ファイナンシャルプランナー大竹 のり子)
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