20081007 日本経済新聞 朝刊

 折に触れ述べてきたが、介護保険制度における軽度者向けサービスをどうしていくかが保険制度のあり方、歳出面から問われている。
 二〇〇六年度の改定で要介護認定を見直し、従来の要介護の一部を要支援とするなど、軽度者に対する線引きを変更。要支援に対するサービスを、基本的に介護予防を目的とした予防給付に限定した。
 改定では予防給付の中心に通所サービスを据え、運動器機能向上、栄養改善、口腔(こうくう)機能向上のメニューを追加するとともに、一定期間、要介護度の維持・改善があった場合の「事業所評価加算」(一人一月当たり千円)を設定。その他のサービスも、本人ができることは本人がやれるよう支援をする内容に変更された。
 さらに、要支援・介護と認定されなかった高齢者についても、健診等で一定の要件を満たせば特定高齢者と認定。介護保険の財源から介護予防サービスを受けられる仕組みを設けた。これらのサービスは市町村責任のもとで実施する制度とした。
 介護予防サービス体系がスタートした際は新たなビジネスチャンスとして注目する事業者もあった。しかし、介護報酬は実質減額で、結果的に積極的に介護予防に取り組む事業者は少ない。内容も、名前を変えただけで実質は従来の介護と変わらない場合が多い。
 通所サービスの新設メニューについても、運動器機能向上は五割以上が取り組んでいるが、栄養改善、口腔機能改善に取り組むのは〇・二%、二・二%にすぎず、事業所評価加算もごくわずかとなっている。こうした状況を受け、軽度者は介護保険の対象からはずし一般財源からサービスを提供すべきだとの意見もある。
 現状では介護予防の歳出は五%程度。少数だが、実質的な成果をあげている事業者もある。単に財源上の問題ととらえず、介護保険制度外の仕組みを含め、高齢者の安心と安全という視点から制度・サービスのあり方を検討すべきだろう。

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